【銀魂】籠の外の花

気分 ページ6

ー銀時サイドー



「おい、飲みすぎじゃね？」




隣でグビグビと酒を流し込むA。
正直びっくりだ。

さっきまで乗り気じゃなかった・・プラス
迷子になってやがった、挙句にナンパされてた
のはどこのどいつだ。








「うるさいな。別に酔ってないから平気」

「・・酒強ェの？」

「知らない」

「お前何怒ってんの」

「怒ってない」

「何拗ねてんの」

「拗ねてない」




単調な答えが返ってくる。
完全にちょっと眉よせてんじゃねーか。






「んだよ。お前のクソ漏らしバラしたこと
まだ根に持ってんのか」

「バラしたって何だ。漏らしたことないわ」

「お前なァ、少しかわいい要素がねーと
モテねェんだって」

「クソ漏らしのどこにかわいい要素があるの」

「ねーな」
「殺したい」





本気で殺意のこもった目つきをむけてきたので
冗談だよ、と慌ててなだめる。


そいつはため息をひとつ吐き出して
コップを傾け一気に飲み干した。




相変わらず、フードによって半分が隠れている
Aの横顔。

酔っていないと言っていたが、
そいつの頬はほんのりと紅潮している。







・・まあ確かに、端正なツラしてるだろう。
ナンパにあうのも頷ける。









「ーーーー・・銀時」

「あ？」




ひっく、と一つしゃくりあげ、
Aはいつもの鋭さを失った目で俺をみる。




焦点があわず、少し潤んだそれが、
おそらく俺の理性をぐらつかせたのだ。

俺は無意識のうちに、
ごくりと喉を鳴らしていた









「・・・・・さっき、ありがと」

「は？」






そのまま突っ伏すように机に体を預けたA

俺はしばらく呆然。
ハッとしたのは、それから少ししてからだ。








「・・・ああ、ナンパん時のことか。
酔って素直になるたァ、反則じゃねーか」





小さな寝息を立てるA。

不覚にも変な気持ちが湧き上がる。
いや、俺はそんな欲求不満じゃねーぞオイ。








「ーーーおっちゃん、会計は長谷川泰三って
奴にツケといて」

「銀さん、誰だいそりゃ」
「まだ生きてたら地球のどっかにいるよ」






客足が伸びてくる時間。





こいつの寝姿を他人に見せてたまるもんか。

自分でも整理のつかない気分とともに、
そいつの軽い体を抱きかかえ、店をでた。

四次元ポケット→←胸焼け

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す