【銀魂】一生ものにつき

優しげな笑み ページ20

「・・・で、」


結局総悟は逃げたのか、とため息をつくトシに
そうみたいだね、と返す。



思わず二人きりになった。それに今は
少し気まずい。変にトシの違和感について
考えてしまう。









「・・・・A、明日から見廻りはしばらく
かまわねェ」




唐突にくだされたその命に驚いてしまう。

トシの口調は、暗に見廻りをするな、と
言っているように聞こえた。






「え、どういうこと？」



思わず聞き返した。
トシの横顔を見上げると、やはり険しい表情








．








「いや、・・最近また多忙になってきてな。
俺の補佐に専念してほしい」

「そ、そうなんだ。うん！任せて！」




わずかに沈黙があったあと、トシは静かに
そう言い放つ。

不自然な間を疑問に思いながらも頷いた。






「なあA」

「ん？」


「・・お前、この前親のこと気にしてたよな」

「え、」




その言葉に、また驚かされる。

確かにそんなことあった気もするけれど
何気無く軽く言ったものだったから。




「そんなこと覚えてくれてたんだねー」



私との会話を覚えてくれていたことが
少し嬉しくて、笑いをこぼす。






「知りてーと思うか？」

「いやー別に今更だしね！簡単に知れる
なら知ってみたい気もするけど」


「それは、どういう意味で」

「・・・・え？」


「恨んでねーのか？」





・・・ああ、そうか。
恨んでいるならば、復讐を考えているんじゃ
ないかといいたいのか。







「別れるまでずっと両親との思い出は
楽しいものだったよ。気づいたら薄暗い箱の
中だったからね！」




結局、両親は私に何一つ嫌そうな顔なんて
してなかった。私を面倒だと感じてるそぶりも
見せなかった。





「・・結果的に、私を育ててくれたのは
トシや近藤さんだから。産んでくれたことには
感謝してるけど、恨むなんて感情すらもてない
くらい、もう他人なんだよ」




恨んでない。ただ、自分を産んでくれた人が
どんな人なのか、顔は似てるのかとか
好奇心が働くだけだ。







「ーーーわっ」





言い終わって笑いかければ、大きな手が
無造作に私の髪をかき混ぜた。






「悪ィ、嫌なこと思いださせた」

「全然。トシがいてくれたら
もう辛くないから大丈夫」




そうか、と一つ呟いたあと
トシは久しぶりに優しげな笑みを見せてくれた

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