【銀魂】先天性ブラックシンドローム・続

悩み悩み ページ11

ー銀時サイドー


あれから三日。
風邪から復活した俺たちは、逃げるように
ダークマターの巣窟から逃げ出した。


神楽も新八も今日は家におらず。
静かなソファで背伸びを一つ。

何度記憶をとばしたかわからねェ壮絶な数日を
思い出し、愛しの我が家でため息をつく。








(ーーーー・・まあ、それはさておき)








「・・おいA、茶、こぼれてるぞ」

「・・・・・あ」





きゅうすを手に持ったAは、
焦点の定まらない目をハッとさせ、
湯のみから溢れた茶に気づく。





「この湯のみちょっと浅いんじゃないの？」
「自分の非を認めやがれひねくれ女」









どうしたことか、志村家に行ってから
こいつの様子がおかしいのだ。

いつもは腹に闇を抱え、常に何かよからぬ企み
を秘めているのだが、・・そのAが、
今は上の空。






「・・・お前、何かあったか」

「は？」

「さっきからおかしいぞ」


「・・・気のせいじゃない？」

「あきらかに気のせいじゃねーよな！？
つかそれ俺のトランクスゥゥゥ！！」




ぼけっと手に取った俺のそれで
こぼれた茶を拭き取るそいつに叫びを上げる






「ーーー・・おかしいわね。これじゃいつ誰に
隙をつかれるかわかったもんじゃないわ」

「テメェの周りにはアサシンでもいんのか」





ため息をつきつつ目尻をいじっている
いつもと様子の違うAは、

新鮮であり、どこか落ち着かない。






「・・・今日は微笑み張り付いてねーし。
お前が真顔ってちょっとレアだよな」

「仕方ないでしょ。生まれてこのかた、悩み
なんてもったことなかったんだから」



「だろーな。・・・・・って、は？おま、」




悩んでんの？、と。

目が点になる。こいつが悩み？
悩みがないことが悩みなのではないかという
ことにも気づいてなさそうな、本能のままに
生きる森の王様みてーな奴が、悩み？







「・・こりゃいよいよ地球滅びるか」
「フォークで目抉るわよ」





眉をしかめて言い放たれ、
これはガチなやつだ、と感じとる。







「・・・何悩んでるってんだテメェは」







ーーーその時、驚くほど優しげな声色が
自分の口から飛び出した。

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