【赤髪の白雪姫】紅く色づく銀世界

#15 私達はいつだって ページ16

シ「名前までは知らないだろう？
A君。白雪君」

『シダンさん...どうしてここに？』



先回りしていたということ？
なぜシダンさんはこの場所を知っているの？

疑問ばかりが次々と浮かぶ。



シ「......君らこそ。こんなところ誰も来ないのに
よく見つけられたね。あてがあるらしいってユズリ君達が
言ってたけど」


白「はい。オビ...彼に考えがあったので...」

シ「宮廷薬剤師は、いろいろ頼れるのがいるなあ...」



うずくまるシダンさん。って！毒が回ったんじゃ...！！



シ「そんな心配そうな顔しなくても大丈夫だよ、A君。
病じゃあない...」



少し間を開けて、ゆっくりと口を開くシダンさん。


この植物。"オリンマリス"は、
東の大陸 その山奥でのみ見つかったものにも関わらず、

こんな雪の深いリリアスで偶然見つけたそうだ。


さらに聞けば、
1年前からオリンマリスの生態研究をしているとか。

もちろん、毒素を作るなんてことは知らずにｰｰｰ



シ「A君。白雪君。

この場所のことは...報告しないでほしい...！！」



ゆくゆくは、オリンマリスをこの銀世界の道々に咲かせ、
鮮やかな花として広めたいと言う。



オ「...そいつは、実現したらすごい事なのかい？」

白「うん、そうだね。すごく...でも


それでも...シダンさん。報告はします」




『白雪......私も同じ意見です、シダンさん。


私達は、一度でも偽れば誰の力にもなれなくなります。


薬草もこの綺麗なオリンマリスも...

人間の薬にもなれば、些細な事で毒にもなりうる。


薬剤師はいつだって、薬草達と真正面から向き合い、

それを必要とする人々にも同じように、嘘偽りなく
誠意をもって向き合わなければならないと思うんです。』



白「うん...うん、そうだよね A。...シダンさん！

シダンさんは正々堂々とオリンマリスを守って下さい」


シ「.........どうやって？」

白「............」

オ「お嬢さん」


口が開いたまま言葉が出てこない白雪がなんだか可笑しい




『ふふふふっ！シダンさん！

貴方はリリアス常駐の薬剤師で、皆に信頼されています。

私や鈴、ユズリのことだって
同じくらい信頼してくれないと寂しいものです。

それに...』



白雪とオビさんを見る。



『リュウも含め、今リリアスには

王城から来た新しい仲間が 3人もいるじゃないですか！』

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