俺は見守る側...でした。[BL]

逃げるの?? ページ8

俺はHRをサボるために保健室に向かった。
特に気分が悪い訳でもないし、何処か怪我した訳でもないが、今は珀から離れたかった。

保健室の扉をノックしてから、失礼しますと、適当に挨拶すれば中に入った。
看護の先生はまだ居ないらしく、中はがらんとしていた。

とりあえずその辺の椅子に座れば大きな溜め息をついた。
何故こんな展開になったのか、何故俺は珀に告白されたのか、夢ならば早く覚めてほしい。
まぁ夢じゃないから覚めないわけだが。

「好きって言われても、わかんねぇよばーか」

誰もいない保健室で呟けば、意外と辺りに響いた。
BL漫画だと此処で珀がくるんだけど、と思ったら保健室の戸ががらりと音を立てた。

「氷君、大丈夫？」

「あ、秋君」

入ってきたのは珀ではなく秋君だった。
少し残念な気もするが、よかった。
なんて思いほっとすれば、大丈夫だよ、と言い、笑った。

「珀君が俺のせいだ、って言ってたから、僕が見に来たんだ」

秋君はのんびりした口調で言いながら、窓をあけて、窓際に座った。
風が吹けば、ふわふわと巻きグセのある栗色の髪が揺れていた。
まぁ、珀のせいっちゃ珀のせいだけど……
と、思っていれば、少し間を置いてから秋君は俺に

「珀君に、告白でもされた?」

と、核心をついてくるもんだから、何も言えなくなった。

「冗談だったんだけどなぁ、本当だったり?」

柔らかい笑顔で言う秋君をみれば、侮れないよなぁ、なんて思い苦笑を浮かべた。
「されてないよ、ちょっと気分悪かったってだけ、教室、戻ろうか」
と、椅子から立ち上がれば、保健室を出ようと扉に手をかけた。
「逃げるの??」
びくっとして、扉から手を離す。
逃げるって何から?? ……俺は、逃げてる、のか?? と、悶々と考えていれば秋君はくすくすと笑い始めた。

「これも冗談、早く教室帰んないと先生に怒られちゃうよ」

秋君は時計を指差して言った。
意外と秋君って……攻めかも。
なんて今はどうでもいいけれどそんな考えが浮かんだ。
珀に言わなきゃな、俺は女の子の方が好きだって、珀は有澤君と恋愛しろって。
まぁ後者はあれとして……

俺は珀の机の上に、用事があるので教室に残っててくれ、と、小さな置き手紙をした。
……女々しいとか言わないで。

隣の席の山内君[小話]→←イケメンキツい。心臓に悪い。

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