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大混乱 ページ10

窓の縁に座りながら、俺は珀を待っていた。
今日は、珀に委員会があるのを知っていたので、珀が来るまで心の準備をしようと、教室でかれこれ一時間ほど待っているのだ。
珀の事だから遅れるとか、来ないとかはないと思うけど……と、内心びくびくしていながらも、来なかったら来なかったでいいか、とも思っていた。

窓から見える景色に目をやりながら呆けていると、足音が聞こえてきた。

鼓動が早まっていくのを感じながら、俺は教室の扉に目を向けた。
「用事って何 ??」
クールに笑いながら珀は……
なんて、言うわけなかった。
だって俺の目の前にいるのは、

「用って何なん、珀と何話すつもりやったんや」

有澤君。

「な、なん……え?」

あまりにびっくりしたものだから、鯉のように口をぱくぱくさせてしまった。

「手紙渡すんなら、もっとちゃんと渡せや、それとも俺に対する当てつけなん??」

俺が渡した、と言うか置いた筈の手紙を持ちながら、彼は言う。
「そういうつもりじゃ……」
暫く間があいてからなのに、そんな言葉しか出てこなかった。
「じゃあ言えや、珀になんの用があったんや」
有澤君の迫力に怖じ気つつある。
別にやましいことではないのだが、珀に告白されたことを言ったら、きっと有澤君だって引いてしまうだろう。
珀と有澤君のいちゃいちゃはあくまで俺の妄想なのだ。
有澤君がもし、珀が俺に告白したと聞いて、珀から離れられてしまっては困る。
珀の株を落とす訳にはいかない。
俺はそう思い口を開こうとしたが
「告白されたんやろ、珀に」
ずずっと、鼻をすする音が聞こえた。
一瞬、ほんの一瞬だけ、俺は戸惑ってしまった。

「や、嫌だな、そんなことあるわけないじゃん」

「分からないとでも思ってんなら大間違いやで」

俺を睨み付ける有澤君の赤くなっている目元。
うるんでいる瞳。
何で……?? 何で、泣いてるんだ??

「……が」

「あ、有澤君??」

「俺が、どんだけ珀のこと見てるんか、御前には分からへんやろうけどなぁ!!」

今までに聞いたことのない程の大声で有澤君は叫んだ。
涙が流れていることに気がついたのか、頬を拭うと何か言いたげにしたあとに、彼は教室から出ていってしまった。


俺、大混乱。

ばーか!!!→←隣の席の山内君[小話]



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設定タグ:BL , オリジナル , 創作小説   
作品ジャンル:恋愛, オリジナル作品
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りんご(プロフ) - 誤字ごめんなさいw (2019年10月28日 20時) (レス) id: 92785b223f (このIDを非表示/違反報告)
りんご(プロフ) - 腐男子視点の小説はあまり見ない方でしたが、少しもどかしい感じも含めて、とても面白がったし、いいお話だなと思いました!これからも頑張ってください!! (2019年10月28日 20時) (レス) id: 92785b223f (このIDを非表示/違反報告)
群青色の五月雨(プロフ) - 薄氷さん» コメント二度もありがとうございます!! やっと完結しました。ここまで見てくださりありがとうございました。誉めてもらえて嬉しい限りです。薄氷さんも小説頑張ってください!応援してます。 (2018年1月5日 16時) (レス) id: 227c123589 (このIDを非表示/違反報告)
薄氷(プロフ) - 完結おめでとうございます!!最後の最後まで面白くて、萌えが凄くて、素晴らしかったです、語彙力がなくてすみません。絵も楽しみにしています、完結、お疲れ様でした。 (2017年12月23日 14時) (レス) id: 6feeadb499 (このIDを非表示/違反報告)
群青色の五月雨(プロフ) - 真城双葉さん» 読みにくい小説ですが、読んでいただけらなら嬉しいです。コメントありがとうございました。 (2017年12月10日 2時) (レス) id: 227c123589 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:群青色の五月雨 | 作成日時:2017年5月28日 15時

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