20 コイバナ ページ24
「んー、絶対に叶うことない恋だからなぁ」
『彼氏でもいるんです？』
「彼氏はいないけど、好きな人はいる。俺、そいつの恋応援するって決めたからな」
『やっぱりセミセミさんって良い人ですね。その人もセミセミさんに好かれるなんて幸せじゃないですか。どんな人なんですか？』
興味本位って感じで聞いてくる。悪い気はしないが、俺にとっては全部、残酷な言葉だ。
「女子力がなくて割と怪力、よく食うし変な奴」
『ええ…ゴリラみたいですねそんな人ホントにいるんですか…？』
いやお前だよ。ひいてるけどお前のことだからこれ。
「でも、真っ直ぐで頑張り屋で、優しい奴。あと面白いし一緒にいて飽きない」
『ギャップ萌えですか！』
「なんか違う。いつの間にか、好きになってたんだよなぁ。気づいたらつーか」
『告白、しないんですか』
「困らせたくないからな」
Aを見ると、少し俯いている模様。
「だからさ、お前ってすげえと思う。俺は困らせたくないって口では言うけど、多分、ビビってるだけなんだよな。振られるって分かってても、振られるの怖えし。」
『そりゃあ、振られるのは誰だって怖いですよ。当たり前です！セミセミさんはその、好きな子の好きな人に嫉妬はしないんですか。俺が奪い取ってやる！！的な感じで』
「嫉妬はするに決まってるだろ。でもそれ以上に、好きな奴に幸せになってもらいてえんだよな。」
『優しいですね、セミセミさん。…私、今日神無月さんに嫉妬しました。白布、入部の時以来私にあんな笑顔向けてくれたことないんですよ！だいたい眉間にしわ寄ってるか真顔なんです！ヤンキーなんです！！クール便の申し子なんです！！！』
「お、おおちつけ」
興奮して身を乗り出してくるA。やめろ近い。ドキドキするって言ってんだろーが。
『もう、諦めた方いいですかね』
「諦められるのか？」
『無理ですね諦めるのやめます』
「それでこそお前だ。そういうとこが俺は…」
あっぶね！！！なにを言おうとしてんだ俺。雰囲気に流されすぎか。
『セミセミさん、私もセミセミさん応援しますよ！あと告白は多分、しない方が後悔すると思います。まあでもセミセミさんが後悔しなければどっちでもいいと思います！』
「どっちなんだよ」
俺は笑いながらそう返す。応援しますよ、か。なんてひどい言葉なんだろーな。
「ま、ありがとな」
そんなこんなで、俺たちは帰路についた。
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作者名：Blue Leaf x他2人 | 作成日時：2017年1月28日 9時
