14 トイレ ページ18
川西side
俺は今、Aと瀬見さんと尾行中。
白布と神無月さんは近くのベンチに座り、しゃべっている。しばらく動きそうにない。
『あ、私トイレ行ってくるますね、さっきの店んとこの！』
片方は同級生、片方は先輩。そのせいで変な敬語になったAはトイレへ向かう。俺と瀬見さんは二人、木の陰に立っている。
「あのー、瀬見さん」
「ん？」
「俺、帰りましょうか？」
「え、なんでだ？どっか体調悪いのか？」
「いや、Aと二人きりの方いいかと思ったんで」
すると瀬見さんの顔はゆでだこのように真っ赤になる。わっかりやす。
「お、お前、Aの好きな奴が誰か知ってんだろ？」
「はい。でも俺、瀬見さんの好きな人も知ってますから」
これはいわゆる三角関係。
「お前は？」
「え？」
「お前もAのこと好きなんじゃねえの？」
「えーそう見えます？そんなんじゃないっすよ。あいつはなんていうか妹みたいな。確かに友達以上の感情はあります。でもそれが恋愛感情かっていうとそうじゃないです」
なんつーか、家族みたいな感じ。友達以上恋人未満？親友。男女の友情は成立しないとかはでたらめ。俺のAへの好きは、恋愛感情の好きとは違う。親友としての好き。
「けど川西とAってよく一緒にいるし…」
「親友ですからね」
「あいつってお前にはなんでも話してる感じするし…」
「親友ですからね。何ですか瀬見さん嫉妬ですか？」
「そ、そんなんじゃねえよ」
「Aが自分の恋愛相談するの、瀬見さんと俺くらいです。あいつ、そういうことってあんま人に言わないんですよ自分からは。だからA、瀬見さんには結構心許してると思いますよ。十分すごいじゃないですか」
と、俺は事実を述べる。
「あいつ瀬見さんのこと、恋愛としてじゃなくても人として大分好きなんじゃないすかね？」
「……フォローありがとな、川西」
「いや、ホントのこと言っただけです。てことで俺帰りますね、Aには明日アメリカンドッグ奢りで許せって言っといてください」
そう言って俺は気を利かせて帰る。ちょっと楽しかったから心残りはあるが、先輩のためである。
瀬見さんからすると、好きな人の尾行をしてる好きな人と二人きり、という状況。これが正しい判断かどうかは分からないけど、好きな人と二人きりになりたいってのは誰でも思うはず。
瀬見さん、Aのことはあとは任せます。
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作者名：Blue Leaf x他2人 | 作成日時：2017年1月28日 9時
