07 受験日は忘れ物確認必須 ページ10
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あれは白鳥沢学園高校、一般入試の日。元々そんなに頭良くない私がなぜこんなクソレベル高い高校受けたかというと、最寄りだったからです。そのために必死こいて猛勉強しました。一夜漬けで。
歩けば覚えた単語が頭からこぼれ落ちる始末。受験票を片手に自分の席に座る。
つうか…みんな頭良さそうなんですけど!?何この場違いな感じ…。
いや落ち着けA、大丈夫だ。斜め後ろの席の後頭部丸い黒髪の目つき悪い奴も、すんげえ形相で参考書か何か見ている。頭良くなさそう。っておい白目向いてるぞ大丈夫かお前。
私は筆記用具を取り出す。鉛筆、消しゴ…消し……はあ?ねえんだけど!!?えー、あー、もしかして昨日勉強したまましまい忘れたとかですか。あああ私のう○こ野郎!!!
間違えないで書くしか…もし間違えたら手で消す、よし。
そう、覚悟を決めた時だった。
『え』
私の机に一つの消しゴムが置かれた。
「消しゴム二つ入ってたから、それやるよ。」
隣の席に座っていた前髪が斜めにパッツンな男子。驚きのあまり固まってしまう私。
「何、いらないなら返してくれてもいいんだけど」
『あ、いや、借りる!ありがとう』
それが私と白布の出会いだった。
何とか筆記が終わり面接も終わった。無事に消しゴムも返した。
だがしかし!外へ出てみると雨。死ねよおおおお。みんな親に迎え来てもらってるけどさ、私は近いからって誰も迎え来てくんないんすよ。しかも傘持ってる奴らは何なの天気予報見てない私が悪いのそうなの。まあそうなんだけど。
よし濡れよう!!
そう、覚悟を決めた時だった。
『ぐぇっ』
誰かが私の制服の首の後ろの部分を引っ張る。死んじゃうだろ誰だこら。
「傘まで忘れたの」
さっきの斜めパッツン男子だった。
「今そのまま帰ろうとしてただろ。風邪引くよ」
『風邪うんぬんの前に今首締まって死ぬとこだったんだけど!?』
普通に呼び止められなかったんですかね。
「傘、俺折り畳みあるし、やる」
そう言ってそいつは私の話をスルーしつつ白い傘を渡してくる。
『え、でもさすがに。もう会えないかもだし返せないかもですよ』
「いい、あげるって。それにまた入学したら会うかもしれないだろ。じゃ。」
そう言って私の手に傘を置き、去っていった。
入学したらって…私受かるか分かんないし。
ああもうなんだこれ!!
胸の奥のふわふわした感じ。ここ!ここで白布のこと好きになったんだ多分!
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作者名:Blue Leaf x他2人 | 作成日時:2017年1月28日 9時