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継承。 ページ26







無限列車での死闘を受け


杏寿郎は、炎柱の座を退くという結論を出した。


傷が癒えても、今までのようには闘えない。


それは杏寿郎自身が、

誰よりも一番よく分かっていた。


そしてそれを真っ先に打ち明けたのは


愛する妻、Aだった。


杏寿郎の想いを聞いたAは、


開口一番、こう言い放った。





「次の炎柱には、私がなる」





目を見開いた杏寿郎は、


くしゃりと顔を歪ませて

嬉しそうに笑って、頷いた。


Aならばきっと、

そう言うのではないかと思っていたのだ。


それは杏寿郎が言葉にせずとも、


Aの意思と、繋がっていたのだ。





「鬼殺隊には残るの?」


「出来るならば、後継たちを育てる手助けをしたい。竈門少年にも、まだ教えるべきことはたくさんあるからな!」


「…分かった。でも無理だけはしないで」


「……とうとう、君に追い抜かれてしまったな」





そう苦笑いを浮かべた杏寿郎に、

馬鹿言わないで、とAは額を指で弾いた。





「あなたが私を残して逝こうとした事、許してないんだからね」


「ぐ……すまん…」


「私が私でいられるのは、杏寿郎が居るからなの」


「…!!」


「杏寿郎が守ってきたものは、私が継ぐ。誰にも譲らない。あなたの分まで、私がその責務を全うしてみせる。…だから、」





杏寿郎の手を、両手で握りしめる。


そのまま己の胸に抱きこんだAは、

涙を溜めて、震える声で言葉を紡ぐ。





「…だから、杏寿郎は、…私の心を守って…っ」





言い終えると同時、

強く引き寄せられたAは、


そのまま深く口付けられる。


角度を変えて、何度も、何度も、


決して離さないと、離れないと、


そう言うかのように。





「…本当に…君は、自慢の妻だ…っ」


「ん……馬鹿、」


「言葉ではもはや表しきれん!愛してるでは足りない!」


「……馬鹿っ」






嬉しそうに笑う杏寿郎に、


Aはしがみついて、声を上げて泣いた。


怖かった。


杏寿郎が、自分の世界から消えてしまうのかと。


杏寿郎の心の炎が、

消えてしまうのかと。





「……もう一回接吻して」


「っ…ど、うした、素直なAは珍しいな!愛い!」


「不安にさせた分、いっぱいして」


「……よもや心臓が破裂する!!!!」









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香澄 - とっても面白いです!!今日の朝は電車で笑いを堪えながら見ていました笑。更新頑張ってくださいね! (2月19日 21時) (レス) @page8 id: 130dd00968 (このIDを非表示/違反報告)
ユリア(プロフ) - RUNAさん» コメントありがとうございます、分かりにくくてすみません、わざと火の表記にしています。日の呼吸について詳しく明かされていない状態での会話になるので…… (7月22日 14時) (レス) @page22 id: bb66615edf (このIDを非表示/違反報告)
RUNA(プロフ) - 失礼かとも思うんですが、火の呼吸じゃなく日の呼吸ですよ! (6月19日 22時) (レス) @page22 id: 391b329446 (このIDを非表示/違反報告)
- 何度も続けてのコメントですみません。 物語読んでいて気が付いたのですが。。。 番外編.有能妻の日常のここの部分 待っていろ!と掛けて行った。 これ正しくは駆けて行ったではないんでしょうか? (2021年11月2日 1時) (レス) @page34 id: 4332e38eb8 (このIDを非表示/違反報告)
- またまた続けてのコメントですみません。。。 物語一気に読んじゃいました。 この物語では煉獄さん生き延びることが出来て良かった です。。。 その後のお二人のことが気になります。 (2021年11月2日 1時) (レス) @page33 id: 4332e38eb8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ユリア | 作成日時:2021年2月13日 23時

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