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生きて帰っただけでも十分だ。
宇髄さんの言葉が、頭から離れない。
単なる慰めの為で言ったわけではないと、わかってはいるのだ。
宇髄さんは、そんな人ではない。
…師範にも、同じようなことを言われたことがある。
継子になってすぐ、
強くなる為にとがむしゃらに刀を振る日々。
早く師範に認められたくて、
早くあの人に追いつきたくて、
そんな感情だけが先走って、こうして怪我をして帰った日があった。
『…お前を継子として認める条件を覚えているか』
『……ぁ、』
『生きて戻れ。……それが出来ないのなら、お前に教えることは無い』
「……やっぱり私は、あの頃から何も変わってない」
命があるのは、杏寿郎さんが居たからだ。
助けてもらった。
私はただ、己の弱さを痛感して嘆くだけのお荷物だ。
何が鬼殺隊だ。
何が誰も死なせないだ。
自分自身も守れない、
大切な人も守れない、
届かない、
届くわけない、
鬼が見せたあれが、
あれが、私の本当に望んでるものなら、
……私は、鬼殺隊に居てはいけない。
「恥ずかしい……穴があったら入りたい」
「うーん!君が望むのならば穴を掘ってやりたいが、胡蝶の屋敷故出来そうにもない!すまん!」
「……あ…いえ……大丈夫です…」
「元気そうだな!!目が覚めてよかった!!」
「…杏寿郎さんも、お元気そうでよかったです」
「うむ!元気だぞ!ところで何故穴に?」
聞かれて、思いきり目を逸らす。
突然現れたことに関しては、もはや驚くこともない。
流石は柱、気配は微塵も感じなかった。
自然に話せていた、と思う。
穴に入りたい理由を聞かれるとは思わなかったけれど。
「……こっちの話ですのでお気になさらず…」
「…………気になる」
「、…ただ、己の不甲斐なさが恥ずかしいだけです」
「君は一体誰の話をしているんだ!」
「私の話ですけど!?」
「いや!違う!!」
「違いません!私が弱くて恥ずかしいっていう話です!」
「それは君ではない!!」
「私なんです!!私が弱いせいであんな幻覚をっ……」
「幻覚?」
しまった。
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まゆ - 無理のないように頑張って下さい!ユリアさんのファンになりました٩(๑>∀<๑)۶ (2月4日 9時) (レス) @page19 id: 311499c733 (このIDを非表示/違反報告)
ユリア(プロフ) - まゆさん» うわーーんコメントありがとうございます( ; ; )ドキドキ!嬉しいです!頑張ります(*´˘`*)♡ (2月3日 22時) (レス) id: bb66615edf (このIDを非表示/違反報告)
まゆ - とても素敵なお話です!読んでいるとすごくドキドキしました♡続きが気になります!更新を楽しみにしてます⸜( •⌄• )⸝ (2月3日 15時) (レス) @page16 id: 311499c733 (このIDを非表示/違反報告)
ユリア(プロフ) - にこさん» ( ᴗ͈ ᴗ͈)” 勢いのまま完結まで書き切りたいと思います(*˙˘˙*) (1月23日 1時) (レス) id: bb66615edf (このIDを非表示/違反報告)
ユリア(プロフ) - さやさん» (*´˘`*)♡ (1月23日 1時) (レス) id: bb66615edf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユリア | 作成日時:2024年1月21日 14時