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Aのバイトする居酒屋、
店に入りすぐにその姿を探す。
男に腕を掴まれているAが見えて。
その目に涙が浮かんでいるのに気付いた瞬間。
俺は、
感じたことのないほどの怒りを覚えた。
「手を離せ」
「は、…誰?」
「聞こえなかったのか。その手を離せと言っている」
店内がざわつく。
このままでは、
この店で働くAにも迷惑がかかってしまう。
だが俺は、
俺自身を抑えきれない。
「俺の恋人に触れるなと言っているんだ」
Aが驚いたような、
少し怯えた表情で俺を見ている。
…無理もない。
これほどまでに怒りを感じたのは、
生まれて初めてだ。
頼む。
俺がこれ以上、耐えきれなくなる前に。
「こっ恋人!?」
「これが最後通告だ。…Aから手を離せ」
弾かれたように手を離した男は、
奥から出てきた別の店員に咎められているようだった。
店主だろうか?
迷惑をかけて申し訳ないと謝ったが、
逆に頭を下げられてしまった。
「Aちゃん、今日はもう上がって!」
「あ…は、い、…すみません、店長…」
「詳しいことはまた落ち着いたら話してくれる?今日は東堂から話聞いとくから!」
頭を下げるAと一緒に、
俺も頭を下げる。
むぅ…我を忘れて騒ぎ立ててしまうとは…
不甲斐なしだ。
「家まで送ろう。外で待っている」
「あ…はい、!」
荷物取ってきます…!と走っていく後ろ姿に、
"東堂"とかいう男への怒りがまた沸々と湧き上がってくる。
Aを好いているならば
何故、彼女が嫌がる事をする。
何故、怖がらせる。
何故、涙を流させる。
ギリッと唇を噛む。
…違う。
そんなのは、綺麗事だ。
Aに、触れるな。
Aに、触れるな。
彼女は、俺だけのものだ。
「お待たせしました…!」
「っ……俺は、」
「?…杏寿郎さん?」
俺は、今、
何を考えた?
「…何でもない!行こう!」
「?はい、」
「よく考えたら、車ならばもっと早く来れたな!気付かないほど焦ってしまった!」
「そういえば、どうして、お店に?」
「宇髄が知らせてくれたんだ」
「えっ」
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ちゃも(プロフ) - すごく好きな内容でした!キュンキュンしたり感動の涙を流したりしてしまいました!続編待ってます! (2023年1月11日 1時) (レス) @page50 id: fdbe52dffa (このIDを非表示/違反報告)
ユリア(プロフ) - 澪凪さん» 最後までお付き合い下さりありがとうございましたー!。゚(゚´ω`゚)゚。 亀更新ですみません。゚(゚´ω`゚)゚。 また長編書く際も読んでもらえると嬉しいです! (2021年11月29日 12時) (レス) id: 20317e0f29 (このIDを非表示/違反報告)
ユリア(プロフ) - 京華さん» 長らくお待たせしてしまって申し訳ないです。゚(゚´ω`゚)゚。 完結まで見届けて下さって感謝しかありません。゚(゚´ω`゚)゚。 ありがとうございました! (2021年11月29日 12時) (レス) id: 20317e0f29 (このIDを非表示/違反報告)
澪凪(プロフ) - 完結おめでとうございますっ!!いやもう素晴らしすぎてトリコになっていました!!!お疲れ様でした!!!! (2021年9月29日 21時) (レス) @page50 id: f9618e512a (このIDを非表示/違反報告)
京華(プロフ) - 完結おめでとうございます!ユリアさんの煉獄さんは格好良くて本当に大好きです!ユリアさんの煉獄さん愛が滲み出すぎて私は毎回溺れています、笑...不甲斐ないなんてとんでもない!更新嬉しかったです!ありがとうございました!!! (2021年9月27日 23時) (レス) @page50 id: 483ff1bb3b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユリア | 作成日時:2021年3月27日 23時