検索窓
今日:5 hit、昨日:4 hit、合計:192,712 hit

29☆ ページ29

.





Aのバイトする居酒屋、


店に入りすぐにその姿を探す。





男に腕を掴まれているAが見えて。



その目に涙が浮かんでいるのに気付いた瞬間。






俺は、

感じたことのないほどの怒りを覚えた。





「手を離せ」

「は、…誰?」

「聞こえなかったのか。その手を離せと言っている」





店内がざわつく。


このままでは、

この店で働くAにも迷惑がかかってしまう。




だが俺は、


俺自身を抑えきれない。





「俺の恋人に触れるなと言っているんだ」





Aが驚いたような、

少し怯えた表情で俺を見ている。


…無理もない。



これほどまでに怒りを感じたのは、

生まれて初めてだ。




頼む。



俺がこれ以上、耐えきれなくなる前に。





「こっ恋人!?」

「これが最後通告だ。…Aから手を離せ」





弾かれたように手を離した男は、

奥から出てきた別の店員に咎められているようだった。


店主だろうか?


迷惑をかけて申し訳ないと謝ったが、

逆に頭を下げられてしまった。





「Aちゃん、今日はもう上がって!」

「あ…は、い、…すみません、店長…」

「詳しいことはまた落ち着いたら話してくれる?今日は東堂から話聞いとくから!」





頭を下げるAと一緒に、
俺も頭を下げる。


むぅ…我を忘れて騒ぎ立ててしまうとは…

不甲斐なしだ。





「家まで送ろう。外で待っている」

「あ…はい、!」





荷物取ってきます…!と走っていく後ろ姿に、


"東堂"とかいう男への怒りがまた沸々と湧き上がってくる。




Aを好いているならば


何故、彼女が嫌がる事をする。

何故、怖がらせる。


何故、涙を流させる。




ギリッと唇を噛む。





…違う。


そんなのは、綺麗事だ。




Aに、触れるな。


Aに、触れるな。





彼女は、俺だけのものだ。





「お待たせしました…!」

「っ……俺は、」

「?…杏寿郎さん?」





俺は、今、

何を考えた?





「…何でもない!行こう!」

「?はい、」

「よく考えたら、車ならばもっと早く来れたな!気付かないほど焦ってしまった!」

「そういえば、どうして、お店に?」

「宇髄が知らせてくれたんだ」

「えっ」





.

30→←28



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (602 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
882人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ちゃも(プロフ) - すごく好きな内容でした!キュンキュンしたり感動の涙を流したりしてしまいました!続編待ってます! (2023年1月11日 1時) (レス) @page50 id: fdbe52dffa (このIDを非表示/違反報告)
ユリア(プロフ) - 澪凪さん» 最後までお付き合い下さりありがとうございましたー!。゚(゚´ω`゚)゚。 亀更新ですみません。゚(゚´ω`゚)゚。 また長編書く際も読んでもらえると嬉しいです! (2021年11月29日 12時) (レス) id: 20317e0f29 (このIDを非表示/違反報告)
ユリア(プロフ) - 京華さん» 長らくお待たせしてしまって申し訳ないです。゚(゚´ω`゚)゚。 完結まで見届けて下さって感謝しかありません。゚(゚´ω`゚)゚。 ありがとうございました! (2021年11月29日 12時) (レス) id: 20317e0f29 (このIDを非表示/違反報告)
澪凪(プロフ) - 完結おめでとうございますっ!!いやもう素晴らしすぎてトリコになっていました!!!お疲れ様でした!!!! (2021年9月29日 21時) (レス) @page50 id: f9618e512a (このIDを非表示/違反報告)
京華(プロフ) - 完結おめでとうございます!ユリアさんの煉獄さんは格好良くて本当に大好きです!ユリアさんの煉獄さん愛が滲み出すぎて私は毎回溺れています、笑...不甲斐ないなんてとんでもない!更新嬉しかったです!ありがとうございました!!! (2021年9月27日 23時) (レス) @page50 id: 483ff1bb3b (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ユリア | 作成日時:2021年3月27日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。