シトラスソーダ228本目。今日一日だけ ページ9
『杉田さん、今日車ですか?』
杉田「え!うん。ん?うん、車」
『じゃあ杉田さん運転よろしくお願いしますね』
杉田「わ、分かった」
運転を任されて、車に乗ったはいいが
杉田「…」
『…』
緊張してる上に会話もないから、気まずいったらありゃしない。
こんなに俺は緊張してるのに、お嬢はいつもと変わらず、感情の読めない顔で外を見ていた。
まぁお嬢が平然としている理由なんてものは、中村という存在がお嬢のすぐ側にいて、俺なんかは全くお嬢の目に入らないからだろう。
そう考えると、胸がチクリと痛んだ。
まったく…笑えない。自分からデートに誘ったくせに、勝手な被害妄想で傷付いてるなんて。女々しすぎるだろ。
『杉田さん』
杉田「へぁ!?あ、あぁ…何?」
『なんでそんなに緊張してるんですか』
杉田「…」
お嬢の質問に対してなんて答えればいいのか分からず、思わずとも黙りこくれば、お嬢は少し申し訳なさそうに「すみません、少し意地悪な質問でしたね」と、やはり感情の読めない顔で言った。
本当に、その通りだ。質問が意地悪すぎる。答えられるわけない。
『じゃあそんな杉田さんに、いい事を教えてあげましょう』
杉田「…はい?」
『今日一日、私を好きにしていい権利をあげます』
杉田「ふぁっ!?」
『嘘です』
杉田「嘘かよッ!!」
……焦った。
嘘って言ってくれて安心した自分もいるけど、ちょっと夢を抱いた自分もいて、なんだか複雑だ。
男をからかうのも大概にしてくれ。
そんな願いを込めたため息を一つ吐き出し、助手席に座っているお嬢に目をやれば、お嬢は喉をクツクツと鳴らしていた。
杉田「え、笑ってる……?」
『笑ってます』
杉田「真顔で言われても」
『杉田さん、恋愛のことになると全然ダメなんですね。意外でびっくりしちゃいました』
杉田「だからってからかう必要ないだろ…」
口では散々言ってるけど、そんなところも好きだったりする。
恥ずかしいから言わないけど。
――だけど
杉田「お嬢」
『はい?』
杉田「今日一日だけ、俺はお嬢の彼氏だから」
『そうですか』
杉田「顔色一つ変わんねーのかよ」
今日一日だけでも、中村と同じ位置に立ちたい。
…この行動がバレたら、俺は多分中村に殺されるんだろうけど。
顔に熱が篭っていることを忘れるために、俺は黙って中村から逃れる術を考えることにした。
――――――
夢主ちゃんは小悪魔
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うたプリ大好き?(プロフ) - 続き気になっています この作品はもう更新されないのでしょうか? (2023年3月23日 16時) (レス) id: de2c41cb59 (このIDを非表示/違反報告)
さゆうゆうだちゅら(プロフ) - めっちゃ好きです、更新気長に待ってます!! (2021年9月13日 9時) (レス) id: b3989f961d (このIDを非表示/違反報告)
さゆうゆうだちゅら(プロフ) - あっっっ…。めっちゃ好き…。 (2021年9月13日 8時) (レス) id: b3989f961d (このIDを非表示/違反報告)
うたプリ大好き?(プロフ) - 続き気になっています!更新停止状態のままですが更新はされるのでしょうか? (2020年10月14日 23時) (レス) id: 48370e286a (このIDを非表示/違反報告)
うたプリ大好き?(プロフ) - 続き気になっています!更新停止状態のままですが更新はされるのでしょうか? (2020年10月10日 15時) (レス) id: 48370e286a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:真白 | 作成日時:2018年5月8日 22時