【中村悠一】シ ト ラ ス ソ ー ダ 第 7 章 。

シトラスソーダ230本目。滲んだ夕焼けの下で ページ11

『杉田さん、今日はありがとうございました』


杉田「……うん」




結局、何も出来ずに仕事の時間になってしまった。
いや、一応飯食ったりその辺見て回ったりしたけど、あまりにもグダグダすぎて作者にカットされたって言う方が正しいな。

お嬢はこの後オフらしいから、家までは送ったけど……これだけじゃなくて、他にもカッコイイことをやりたかったというのが正直な本音だ。


今日だけで、3年分くらいの自己嫌悪をした気がする。
そのくらい緊張してた。



いや、普通はデートってなったらあーんイベントくらいは起きると思うじゃん？
少なくとも、俺は起きると思って期待してたんだけど……
結果、全く起きる気配がなかったって言うね！
※ヤケクソ

マジどうなってんだよ、普通は甘い展開の一個や二個くらい入ってくるだろーが。
※期待した皆さん、すみませんでしたby.作者




『あの、杉田さん』


杉田「…ん？」


『今日、私といて楽しかったですか？』




唐突だな とか思ったけど、お嬢が唐突なのはいつものことだから、もう慣れた。

その突如たる質問の答えは、もちろんYes。
嘘なんてついてない。本当に楽しかった。




杉田「楽しかったよ。お嬢こそ、俺なんかといて楽しかった？」


『微妙ですね』
杉田「そこは嘘でも はい って言って？」




今夜は酒を飲もう、強めのものを。


少し滲んだような、ぼやけたような夕焼けを軽く見上げ、仕事に行こうとお嬢に背を向けた。

否、背を向けようとした刹那。




『なんてね、嘘です。デート、すごく楽しかったですよ』


杉田「！」




普段のお嬢からはあまり想像出来ない、真っ直ぐな言葉を俺に向けられた。
口調はすごく淡々としていたけど、その言葉を述べているお嬢の顔は、少し微笑んでいるように見えた。
……ただの妄想かもしれないけど。


やっぱり、好きだ。お嬢のことが。

どうしようもない愛おしさと心地好い胸の痛みに苛まれ、気がついた頃には――




『じゃ、お仕事がんば、て…』




気がついた頃には、細く、小さいお嬢の体に腕を回していた。

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