25話 ページ31
Noside
どうして、
どうしてどうして、
斎藤莉央は考える。
憎悪にまみれた自分。
どこに向かっているのかもわからず、ただただがむしゃらに走る。
そんな彼女は4月の
入学式、まだクラスに馴染めるかどうかドキドキしている日、彼女の斜め前にに朝比奈は座っていた。
みんながきちんと前を向いて座っているなか、一人ゲーム機を弄りながら。
最初こそは驚いたが、先生にばれないように隠しながらやっていたため、それをわざわざ咎めようとは思わず、チラチラと視線を指すだけだった。他もそんな感じだ。
そしてクラスのオリエンテーション、自己紹介の時間。
朝比奈はその名字から、出席番号もはやく、すぐに自己紹介の時が来た。
朝「朝比奈A」
その一言だけだった。
先生に名前を呼ばれたとき、ゆっくりと視線を上げ、立ち上がりもせず言った。
「それだけで良いのか?」
朝「はい、続きをどうぞ」
教室のあちらこちらで困惑の声が上がる。
朝比奈の前に自己紹介をした数人は好きな食べ物、教科、また入りたい部活などをそれぞれ言っていたというのに。
これでは自己紹介になっていないじゃないか。
それを見ていた斎藤莉央は思う。
かわいそう、と。
おそらくあの子は数日もたたずにクラスから浮いてしまう。
みんなから遠巻きに見られ、友達もできやしないだろう。
それなら………私がなってあげてもいいんじゃないか。
放課後、帰る準備をしていた朝比奈に斎藤は話しかける。
斎「朝比奈さん、だよね?初めまして、私、斎藤莉央。よかったら友達にならない?」
斎藤は満面の笑みを浮かべて握手を求めるかのように手を前に差し出した。
朝比奈は斎藤の顔と手を交互に見ると、口を開く。
朝「そういうのいいんで」
斎「は?」
思わず笑みが崩れた。
朝「だからそういうのいいんで。今日はやく帰ってアニメ見なきゃいけないし。文○トとか」
斎「はあ?」
朝「文○ト知らないんですか?私の推しは中也君何で、そこんとこよろしく」
何をだ。
口角をひくつかせながらそう考えた。
朝「あ、後」
思い出したかのように朝比奈は言って立ち上がった。
ーーその見下したような笑い方、下手くそすぎるんでやめた方がいいですよ。
そう言って斎藤の真横を通りすぎ出ていく朝比奈。
残された彼女はただ呆然と突っ立っていることしかできなかった。
41人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ももの助(プロフ) - 月夜見(つくよみ)さん» すみません、教えてくださりありがとうございます! (2019年7月6日 7時) (レス) id: d77ec042d8 (このIDを非表示/違反報告)
月夜見(つくよみ) - 誤字見付けたんで報告?しときますね。第四話での夢主が炎ジュエルに触って国見が「光るんだよ、それ」って言った表記が朝比奈ちゃんになってましたよ。国見が言ったって言ってるのに…。と、合ったので言っときます。 (2019年7月6日 2時) (レス) id: 1b059efec0 (このIDを非表示/違反報告)
月華 - 残念です。仕方ないですね (2019年6月24日 18時) (レス) id: 796c431fbb (このIDを非表示/違反報告)
ももの助(プロフ) - すみません、実は月の魔法少女はもう設定を決めちゃっていまして……本当に申し訳ないです。少し遅くなるかもしれないですが月華さんをもとにしたキャラを出させていただきますね! (2019年6月24日 18時) (レス) id: d77ec042d8 (このIDを非表示/違反報告)
月華 - わがまま言ってすみません。出していただけるだけで本当に嬉しいので…… (2019年6月24日 17時) (レス) id: 796c431fbb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ももの助 | 作成日時:2019年3月5日 13時