42 アピール ページ45
*
甘味屋なら不自然じゃないし、銀さんも行きたがるだろう。それに前にも言ったことがあるし！
誘う先を甘味屋に決めた私はさっそく銀さんを誘うことにした。今ならきっと丁度いい時間だろう。
「銀さん！」
銀「ん？なんだ？」
そう言うと銀さんはジャンプから目を離しこちらを向く。すると目が合ってしまって急に緊張してきてしまった。
「あ、あの、今暇ですよね？」
銀「そうだけど…？」
「よ、よければ一緒に、甘味屋行きませんか？」
い、言えた…。
完全に照れてしまってきっと不自然だったけれど、銀さんはあまり気になっていなかったようだ。
銀「まじで！？」
「はい。」
銀さんは嬉しそうにしながら甘味屋に行く準備をした。
今は2人で並んで甘味屋まで歩いている途中だ。
銀「お前から誘うなんて珍しいな。」
「甘味が食べたくなったので…」
なんて適当な理由を言った。
銀「俺誘う意味あったか？」
「え！あ、それは…」
銀さんは意地悪な顔をして私に聞いてきた。
「ひとりじゃ寂しいじゃないですか。それに、銀さんと行きたかったんです。」
照れるのを必死に誤魔化しながらお妙さんに言われた通りさりげなくアピールしてみた。
銀「そうかい。お前ももの好きだな。」
そう言うと銀さんは顔を背けてしまった。
「あ、銀さん着きましたよ！」
私たちは奥の席に案内されて向かい合わせで座った。
今日はお団子にしようかなと思い何本か頼む。銀さんはいつも通りパフェにしたようだ。
「ここ、お団子も美味しいですね。」
銀「ま、銀さんの行きつけの甘味屋だからな。」
そんな会話をしながら甘味を楽しんで、とても幸せな時間だ。きっと、今よりも距離が近くなればもっと幸せだと感じるのだろう。
銀「おーい、どうした？ぼーっとして。銀さんが団子食っちまうぞ？」
「ちょっと考え事してました。お団子食べたいんですか？」
銀「え？」
「1個あげますよ。」
銀「貰っちゃっていいのか？」
「はい！」
そう答えると銀さんは団子を一つだけ食べた。
銀「やっぱうめぇなここの団子。」
「ですよね。」
銀さんから団子がひとつ減った串を受け取る。
あれ？もしかしてこれ…関節キス？
銀さんの美味しそうに甘味を食べる顔が見たいと思ってあげたらまさかこんなことに。…これは喜んでいいのだろうか。
とりあえず食べないとまた不自然な行動になってしまうので思い切って食べた。
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作者名：銀星 | 作成日時：2020年2月2日 12時
