29 心配 ページ32
Aside
走って真選組へ向かったら何とか間に合った。やっぱり丈の短い着物だと走りやすい。真選組の門をくぐって屯所へ入る。今日も屯所の掃除を始める。
土「Aか?着物変えたんだな。」
「あ、土方さん。こっちのが動きやすそうだと思って変えてみたんです。」
土「そうか。まぁ頑張れよ。あ、そうだ。コーヒー入れてくれるか?」
「いいですよ!入れてきますね。」
私は食堂へ向かってコーヒーを入れる。お登勢さんに教えてもらってから何度か土方さんにコーヒーを入れてみたけれど、なかなか素直に美味しいと言って貰えない。前よりはマシになっている気がするけど…。
「失礼します。コーヒー入れてきましたよ。」
土「おう。ありがとな。」
土方さんはコーヒーを受け取って1口飲む。
「ど、どうですか?」
土「そうだな〜。昨日よりはいいかもな。」
最近いつもこんな感じの感想ばかりだ。土方さんはそんなにコーヒーにこだわりがあるのだろうか。
「次はもっと頑張ります…!」
と言って土方さんの部屋を出て屯所の掃除を再開した。
今はもう夜、夕飯を作り終え万事屋へ帰るところだ。今日は急いで真選組へ来てしまったのでいつも着ていた羽織を忘れてしまった。夜だと肌寒い。
万事屋につき中へ入る。今日もみんなが待っていてくれた。
新「Aさん、早く食べましょ。」
「うん、そうだね。」
いただきますと4人の声が重なる。そういえば真選組の仕事へ行く前、銀さんの様子がおかしかったけど、結局どうなったんだろう。
夕飯を食べ終えて、新八くんは家に帰り、神楽ちゃんは風呂に入った。
「銀さん、昼間の事なんですけど、何かあったんですか?」
銀「え?あーなんでもねぇよ。気にするな。」
「そう、ですか…。」
銀「そんなに気になってたの?」
「そりゃあ気になりますよ!」
銀「そうか。でも大したことじゃないっぽかったからそんなに必死にならなくてもいいぜ?」
気づかないうちに必死になっていた。でも、大したことじゃないようなのでよかった。
「私、そんなに必死でしたか?」
銀「まぁな。でも、心配してくれたんだろ?」
「そうですけど…」
銀「ありがとな。」
そう言って銀さんは大きな手で私の頭を撫でてくれた。今日はなぜだかいつもより優しい。
神「やっぱり銀ちゃん、恋してるアルな。」
私や銀さんには聞こえないくらいの声で神楽ちゃんが言った。
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作者名:銀星 | 作成日時:2020年2月2日 12時