17 働く先は… ページ20
銀時side
空腹生活が始まって何日かたったある日、万事屋に1本の電話がかかってきた。それをAが慌ててとる。依頼か?と考えながら電話で話をしているAをぼんやり眺める。すると、勢いよく万事屋を飛び出してどこかへ行ってしまった。
結局することも無く、空腹を誤魔化すようにジャンプを読んでみた。神楽は魂の抜けたような顔をして酢昆布をくわえている。そろそろ依頼探さねぇとな。なんて思った。ただし、思っただけであって今からやろうなんて気は起きなかった。
新八はAがどこかへ行ってしまったため、洗濯やら掃除やらしている。どこにあんな活力があるのだろうか。
しばらくすると、数時間前と同じように勢いよく扉を開けAが帰ってきた。こちらに向かって急いで来る。
そして、とても嬉しそうな顔をして、
「私、真選組で働くことになりました!!!」
と言った。
え…?何?え???真選組ってあの真選組???
え?え?
ていうか、
「「「ぇぇぇぇぇえええええ!!!!!」」」
とりあえず混乱して叫んでしまった。しかし、それは神楽や新八も同じだったらしく、見事に3人の声が重なった。
それから、一旦落ち着いてAの話を聞くことにした。
「真選組なら、警察だからお金も稼げるし、優しい人たちが沢山いたからいいかなーって…。」
何故かいい訳のような形で答えた。
神「騙されたら駄目アル。特にあのサドには気をつけるネ!何するか分からないから危険アル!!」
銀「そうだぞ〜。あんなのただの税金泥棒だぜ?」
新「ちょっと言い過ぎじゃないですか?」
「それでも、お金稼げるなら頑張ります。…駄目、ですか?」
少し俯いて不安そうに聞くAを見て、さっきとても嬉しそうな顔をして真選組で働くことを告げたAの顔を思い出した。きっと、神楽や新八に美味しいご飯を食べさせてあげられると思ったから嬉しそうだったんだろう。そう思うと、駄目だとは言えなかった。
銀「まぁ、どうしてもって言うならいいけど、何かあったら言えよ?」
できるだけ傷つけないように優しく言ってみた。そしたらすぐに顔を上げ、
「ありがとうございます!!頑張ります!」
と笑顔で答えた。そんなAを見ているとなんだかモヤモヤするような、伝えがたい気持ちになった。前にもこんな事あったような…。
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作者名:銀星 | 作成日時:2020年2月2日 12時