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1話 「佐藤花、中学デビュー」 ページ2

「あっ、あっ……どうしよう……」

掲示板に張り出されたクラスの紙の前で狼狽えてるこの少女は佐藤花。今日から中学生。
何故花がこれほど焦ってるのかというと、クラスが唯一の友達と離れてしまったからだ。

「うぅ……私これからどうすればいいの……」

花はがっくりと肩を落としながら自分のクラスへ向かう。
この学校は私立で、花が友人と二人で受けた場所だった。
その為、知り合いは友人しかいなかったのだ。

花は自分のクラスに辿り着くと、俯いたまま自分の席に座り、涙を堪えていた。
ついでにいうと、花は泣き虫である。

花は、「整列して体育館に入ってください」という放送がかかるまで、まるでかかしのように微動だにせず座っていた。

そして、体育館に着いても俯いたまま。
後から両親が手を振ってることなんて気にする余裕が無かったのだ。

「この学校で君たちが有意義な時間を過ごせるように……」

お堅い校長先生の話も耳に入らず、

「今日から君たちの担任になりました」

クラスの担任の先生の話も耳に入らず、花はぼんやりとしたまま入学式を終えた。



「友達、出来るかな……」

花は教室に戻り、周りでグループが出来始めるのを尻目に一人呟く。

「とりゃー!!」

その時、目の前をすごいスピードで少女が通り過ぎて行った。
花は思わずその方向を向く。

そこには、何故か満足気な顔をした自分より少し身長の高い元気そうな少女がいた。

「私、大石京華! 「けい」とか、「けいちゃん」って呼んでね! よろしく!」

そして、その少女……京華は唐突な自己紹介を始めた。

花が「う、うん。よろしく」と言ったのを確認したのかしてないのか、京華は意味深な風に「うんうん」と頷き、「私、大石京華!」と、隣の席の少女にも自己紹介をしに行った。

その隣の席の少女と、隣の席の少女と話していたもう一人の少女は、京華のテンションを特に気にすることもなく受け入れた。

花はそれを見て、素直に「凄いな……」と感じた。私もあんな風になれたら、と。

「あ、出席番号11番さん……じゃなくて、はーちゃんもよろしく!」

花が京華に尊敬の眼差しを送ってると、京華が振り向き、ピースサインをしながら微笑んだ。
花は戸惑ったが、「よ、よろしく!」とどうにか挨拶を返すことが出来た。

この出来事もあってか、花は「もしかしたら、友達が……」という気持ちになっていた。
俯いてた顔もすっかり上がっていて。

花には、窓から覗く青い空が、何故か輝いているように見えていた。

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作者名:ミナ | 作成日時:2018年4月13日 22時

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