歌い手病院『市立海の街病院小児科病棟』 (ページ43)

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ー天月sideー

かしたろさんは、ろんちゃんを僕に預けるなり体を反らせて腰をぽきぽきっと鳴らした。

軽いとはいえ、ずっと抱きっぱなしなのは大変だっただろう。

天「ろんちゃん、寝てる～・・・訳ではないんだ・・・」

歌「そうなんだよ。寝れないみたいで、寝れても辛そうでさ・・・」

なんだろう、と頭のなかで考える。

思い当たる節は１つだけ。

天「夢の中でフラッシュバックを起こしてる「可能性があるんだよね。」」

さすが、かしたろさん。

坂「戻りやした～。」

丁度いいところにさかたん！！

さかたんは精神科だよね。

なにか分かるかも・・・！

天「さかたん、ろんちゃんを頼んでも」

歌「いいかな？」

坂「別にええで！個室借りるわ！」

二へっと笑って、ろんちゃんと奥の個室へと向かっていった。

ー坂田sideー

ひとまず、ろんちゃんをベットに寝かせる。

悪夢は次起きた時になだめるしかない。

ろ「・・・ったはっ！」

坂「大丈夫？落ち着こっか、ね？」

声を掛けつつも、点滴をつなぐ。

これで、よくなればいいんだけど・・・

坂「なんかあったら、ぜ～～んぶ言ってね？」

ろ「あ、じゃあ、あのね・・・？」

・夢を見るのが怖いこと
・夢の中でどこかへ連れていかれること
・みんながいなくなってしまうこと

とか、記憶のある範囲ですべて教えてくれた。

大体は、口にして共感を得てもらうだけで改善する。

坂「でも大丈夫。ろんちゃんみたいに可愛い子を置いてなんて行かないから。」

ろ「そうなの？」

坂「もちろん！でも今は寝てくれると嬉しいな。僕も寝るから夢の中の悪者、倒してあげる！」

ろ「ありがと・・・」

５分もかからず寝てしまった。

起きた時にパニックを起こさないように、部屋から出るのはやめた。

でも、僕より歌詞さんの方がいいだろう。

歌「様子見に来たよ。あ、寝てる！」

坂「今、寝たの。お願いなんだけどここにいてもらえる？」

歌「いいけど、なんかあるの？」

坂「いいや。歌詞さんの方がいいと思っただけ。」

歌「わかった。起きたら内線入れるから。」

今、歌詞さんと短い間だけど会話して分かった。

歌詞さんも相当心配していたのだろう。

さっき、センラが「花火に見惚れてた」って言ってたけど

それは、ろんちゃんが心配でぼぉっとしてたんだろう。

寝たの見て喜んでたし。

坂「よし！僕も頑張らなくちゃ！」