歌い手病院『市立海の街病院小児科病棟』 (ページ5)

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ー歌詞太郎sideー

５分後ろんちゃんがトイレからふらつきながら出てきた。

ろ「遅くなってごめんね？」

歌「全然いいよ。ほら、乗んな？」

再び車いすを押して病室へ向かう。

V「今日はありがとうございました。」

歌「もう、お帰りになるんですか？」

V「えぇ。あの、『お兄さん』じゃなくて、『店長』とでも気軽に呼んでください。」

歌「はい。わかりました。ろんちゃん、店長にバイバイって」

ろ「バイバイ！ありがとうね、また今度！」

軽く会釈をして帰っていった。
病室には、一生懸命計算している９６ちゃんがいた。

ろんちゃんをベットに寝かせ、隣に座った。
そのまま９６ちゃんの方を向いて聞いてみた。

歌「なにしてるの？」

96「ん？あぁ、これ？お小遣いの使い道の計算。兄貴が毎月１００００円置いてってくれるから。」

１００００円も何に使うんだろうと思い、紙をのぞき込む。

・携帯の通話料や使用料
・飲み物代
・お菓子代
・本や学習道具代
・その他生活用品代

病院にいるからかもしれないが、こんなお小遣いの使い方をする中学生を初めてみた。

歌「えらいね。」

96「そんなん言われたの、初めて・・・うれしい」

すこし照れたように返してくれた。

今日も、海の街の小児科は晴天です。