file8.1 ページ32
ー歌詞太郎sideー
少し気になったから、ろんちゃんの家族のことを調べてみた。
ろんちゃんがここに来たのが、６歳の時。
あの時の父親の急ぎようははっきり覚えている。
『宇佐を・・・お願いします！必ず、迎えに来ますんで・・・！』
何かあったんだ。
僕はその日から、昼夜関係なく当時のニュースや新聞を読み漁っていた。
天「歌詞太郎さん、いい加減寝たらどうですか？」
歌「・・・うん。」
U「歌詞ちゃん？あと３日でろん、帰ってくるよ？」
歌「・・・うん。」
は「おい、かしたろ。身体壊すから。」
歌「・・・うん。」
どんなに話しかけられたって下手くそな相槌だけで済ますようになっていた。
なにか、覚醒してしまったように眠くもなく、腹も空かない。
坂「今日、ろんちゃんが帰ってくるんですよ？」
浦「ほら、そろそろ準備しないと。」
犬「かしたろさん？」
とうとう僕は返事もしなくなった。
次第に目の焦点が合わなくなってきた。
そ「歌詞太郎。もうやめろ。」
歌「・・・」
僕は一度、手を止めてそらるさんの方を見る。
そ「その顔は自覚なしか。『拒食症』『不眠症』だ。わかるだろ？」
歌「・・・ぇ？」
声がまともに出なかった。
そ「もう、やめてくれ。横になろう。」
そういって、僕をひいて仮眠室へ連れていかれる。
点滴を打たれ、目を閉じる。
ーそらるsideー
歌詞太郎を寝かせて、机に戻る。
一週間もなにをしていたのか、気になってまとめられた紙を覗いた。
そこにはろんの家族のことがあった。
そ「緊急だ！ろんの母親をとっ捕まえろ！ろんをいますぐに保護しろ！」
U「そらるさん・・・なにいきなり・・・」
そ「ろんが死ぬかもしれないんだ！急げ！」
は「そらるちゃん？落ち着こうや？」
そ「お前、急げって言ってんのが聞こえねえのか！？」
天「ちょ・・・そらるさん！」
そ「天月も、止めに入るんだったら警察の一つや二つ呼べんだろ！？」
俺のことを止める奴らに、歌詞太郎が先ほどまで書き綴っていた紙を見せる。
それを見るなり、みんなが息をのむ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 25人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：にょんこ0602 | 作成日時：2017年9月23日 21時
