記録その廿漆 ページ28
『美味いか?』
「美味い。」
「Aさん…本当に何度もすみません。」
Aは優しい。
見た目は何処か冷たそうで表情が余り豊かではないが、慣れた人間の前ではよく変わる。
『錆兎は気にし過ぎだ。ほら、おかわりいるか?』
「A、おかわり。」
「…俺も、ください。」
『よし、いいぞ。童磨、お前は?』
「俺もおかわり。」
Aの傍にいると、暖かいなあ。
__________
________________
夜、静かな山には何かがぶつかる音が響く。
「ケケッ!!次こそ腕から喰ってやる!!」
「それは良くないなあ。」
鬼の懐に入り、鋭い扇で鬼の首を綺麗に撥ねた。
そして、鬼の体がぼろぼろと崩れていく。
『お前の扇も鬼を斬れるんだな。』
「Aも斬れるよね。それ、日輪刀じゃないだろう?」
『日輪刀の仕組みはよく分からねえけど俺のは黒刀だから多分それで斬れる。』
「黒刀?よく分からないなあ。」
扇についた血を払い、よいしょと立ち上がる。
Aが歩き出すと、その隣を歩く。
扇をしまいながら童磨は空を見上げた。
「月が綺麗だなあ。」
『そうだな。』
「ははは、無惨様に見つかったら殺されてしまうな。」
『お前、鬼になって良かったとか思うか?』
ぴたり、童磨の足が止まりAを見た。
別にAは怒りや軽蔑した目はしておらず、ただ単純に気になったようだ。
「分からない、これが答えかなあ。女を喰っているときは美味しいなあとかしか思わなかった。別に鬼になって楽しいとか良かったとかないよ。」
『そうか。俺だったら絶対、鬼にはなりたくねえ。』
「ふふ、そうかなりたくないのか。」
童磨は愉しそうに笑う。
この男はいつもそうなのだ。いつもにこにこ笑っている。まあそれは愉しいから笑っているらしいのだが。
「俺ねえ、人間になって良かった。うーん、戻って良かったって言った方がいいのかな。」
『!!』
「初めての感情ばかりでわくわくしてしまうよ。それに、Aって心地いいんだよね。」
『…俺は敷物か何かか?』
「何でそうなるのさ。…あぁ、そうだ!!」
いいことを思いついたと言う童磨にAが首を傾げる。
「もしAが無惨様に負けて死んでしまったら俺も死のう。一緒に地獄に行こう。」
『はあ!?いきなり過ぎて意味が分からん!!』
「ずっと一緒という意味だ。」
『一緒…』
________悪くねえな。
そう言ったAは何処か嬉しそうだった。
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メリエリ(プロフ) - 凄く面白くてお気に入りです！続きはつくらないのですか？ (2021年7月13日 19時) (
レス) id: 3b02c3cd6d (このIDを非表示/違反報告)
ry_ily(プロフ) - こんばんは！もう更新はされないのですか？？とてもいい作品でもっともっと読みたいです！！更新待ってます！ (2020年5月15日 0時) (レス) id: c05f4833c8 (このIDを非表示/違反報告)
RUGI(プロフ) - 伊之助推しさん» ありがとうございます！神作品だなんて本当に嬉しいです！！これからも更新していくのでよろしくお願いします！！ (2020年2月24日 23時) (レス) id: 23a9fd6e5d (このIDを非表示/違反報告)
伊之助推し - 神作品すぎる、本当にこれ好きなので続木楽しみにしています。 (2020年2月14日 23時) (レス) id: 5a7580d6d4 (このIDを非表示/違反報告)
RUGI(プロフ) - Ecarlateさん» コメントありがとうございます！記録その廿伍に少しだけ書いてあるのですが夢主をおびき寄せるために無惨から呪いを解かれていたという設定です、すみません文章が不足していました汗 (2020年2月2日 17時) (レス) id: 23a9fd6e5d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：RUGI
| 作成日時：2019年12月27日 21時
