夫婦歌い手は呟きます。

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渡された白いチャイナドレスを手に洗面所へ入る

どうせやるなら楽しんでしまおうと三つ編みをして両耳の上辺りでお団子をつくる

体のラインの主張がちょっと激しい気もするが気にしないでおこう

そろそろ待ちくたびれた旦那さんが迎えに来てしまうと思いドアを開ける

「え、なにしてんの」

『え？』

目の前には若干引いたそらるくん

『なんでいんの』

何故かアポなしで他人の家に上がり込んできている非常識な色白の三十路

取り敢えずリビングへ一緒に向かう

「あっ、おかえ.......」

『え、』

「あ、死んだ」

リビングに入った途端忠犬のように寄ってきた旦那さんは今、顔を隠して床に転がっている

カオスだ

笑いながら写真を撮っているそらるくんを無視してまふくんに近寄る

『おーい、折角着てあげたのに見ないのかい？』

「むり、しんどい」

どこかのリスナーみたいに語彙力が低下している

これはダメだと思い、着替えるために立ち上がろうとした

「だめ、まだ待って」

握力は７とか言っていたくせに物凄い力で抱きしめてくるこいつは天使なんかじゃない

そらるさんに至っては私たちのいちゃいちゃには興味ないとでも言うように勝手にゲームを始めている

まじかこいつ、たすけろ

かわいいかわいいと耳元で念仏を唱えるようにひたすら口を動かしている私の旦那はそろそろ末期

『ねぇ、離して』

「.......」

返事の代わりに肩に額をぐりぐりと押し付けてくる

たぶん嫌だと言っている

もぞもぞと動いてみるが全く離れない

諦めて近くに置いてあったスマホを取り、後ろにいるくっつき虫を盗撮してみた






続く

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