Jeanne black swan.3 ページ40
+
「この子の名前は」
「ねぇよ…ッ!」
名前のない、死体のような少女は
無表情で男を見つめている。
「何でもするから助けてくれ」と命乞いする男を
____太宰は撃ち殺した。
静かになったその場で俺は少女を抱き上げる。
「織田作
_____その子、一寸首領に会わせようか」
+
「何故だ、太宰。
___何故その子を」
何年も風呂に入っていないのか、少女は
悪臭を放っていた。
太宰は少女の体を風呂場で洗いながら
俺の質問に答える。
「いいからいいから♪」
___少女は相変わらず死人のような顔をしていた。
太宰はまさか、ポートマフィアにこの少女を
引き入れるつもりなのだろうか。
だとしたら、俺は反対だった。
孤児を養っているあの家に、少女を新たな仲間として
加えさせてやりたかった。
+
「___さく…織田作、」
「___ん、」
太宰の声がぼんやりと聞こえた。
いつの間にか寝てしまったのか、と考える。
肩を揺さぶられて目を開いた。
「…は、」
____立ち上がろうとした瞬間、視界がぐらりと
歪み体制を崩した。
目眩とかそういう類ではなく、…まるで酒に酔ったような。
それと同時に芳香が鼻をくすぐる。
___今までに嗅いだことのない香りだった。
世界で一番美しい香りは何かと聞かれたら、
俺は迷わずあの子の香りだと答えることが出来るだろう。
「_____ほら、織田作。
お姫様だよ」
薄らと目を開ける。視界に、先程救った子供がいた。
____濡れた髪は乾かされ肌も汚れひとつなく、
陶器のように白い。
「____綺麗だ…」
___そう。思わず口から零れ落ちてしまう程。
…嫌、そんな言葉では表せない程に。
____その子は、完璧な美しさを持っていた。
汚れていて香りにも美貌にも気付かなかった。
星の色だ。
少女の揺れる髪色と、まつ毛は。
澄んだ瞳は大きなアメジストようで、俺が酔ってしまった、あの香りはこの子から滲み出ているのだと分かった。
「___首領に見せるというのも…わかるな」
「でしょ?」
普通とは明らかに違う。
___容姿も、香りも、全て。
Jeanne38.→←Jeanne black swan.2
604人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
奥山乃愛(プロフ) - 初コメ失礼します!私、逆ハー大好きなんで嬉しいです!無理せずに頑張ってくださいね! (2023年3月5日 19時) (レス) id: fdc1778b4b (このIDを非表示/違反報告)
初季(プロフ) - ちっぽけさん» あああああフラグ立っちゃたんですか(震え声)了解です!笑 (2018年3月1日 4時) (レス) id: 6dc40941cf (このIDを非表示/違反報告)
ちっぽけ(プロフ) - 初季さん» 最初はこの作品、フラグなしだったんですけどフラグがたってしまって…その時に頑張って回避しようとしてた言葉ですね笑 そうです、その言葉であってます汗 (2018年3月1日 1時) (レス) id: c64884f1ed (このIDを非表示/違反報告)
ちっぽけ(プロフ) - ショコラさん» ありがとうございます!(><) (2018年3月1日 1時) (レス) id: c64884f1ed (このIDを非表示/違反報告)
初季(プロフ) - こびぐすりとはび やくのことでしょうか…?フラグ防止でわざとだったらごめんなさい(><)面白くて大好きです!これからも頑張ってください! (2018年2月26日 0時) (レス) id: 6dc40941cf (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ちっぽけ | 作成日時:2018年1月17日 0時