マイクを置いて。

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Aside




WESTを卒業してから１ヶ月が経とうとしていた。みんなから来るメールも電話もすべて無視し続けていたら2週間ほどで何も来なくなった。





貴「これで…良かったんだよね。」





私は専門学校に通っていた。
美容師の専門学校。初めは周りから視線を受けたり、噂されたりしたけど今はもう友達もできて普通に通ってる。






芸能界も1か月前はWESTのことばかりやったけど、今となってはもう何もない。





友達「A〜!次、衛生の授業だよ!」




貴「はーい!待って!!」





今の生活には満足している。
いつも同じ時間に起きて、同じ電車で同じ友達と通学して。最近はSNSも始めた。





友達「そーいえば、どうなの？」




貴「なに?どうなのって笑」




友達「アイドルだよ!!アイドル!やっぱりみんな裏とかあったの?｣





この質問もいい加減飽きた。
けど、辞めたのは私だから。隠すことなんて何も無いから。






貴「裏?そんなのないよ笑あの人たちは最高のアイドルだと思うよ。」





私はこの質問をされると毎回そう答える。
みんなは本当に最高の奴らだ。胸を張って答えられる。





友達「ばいば〜い」




貴「また明日！」






1日ずっと勉強して、夕方になると家に帰る。
家に帰ったらお風呂に入って、ご飯食べて、課題して。





そんな普通の日々が私には合ってるんだ。
あの時、辞めるっていう選択を選んで良かったと思う。






貴「あ…」





たまたまつけたテレビにWESTのみんなが映る。
画面に映る皆はすごく楽しそうで、キラキラしている。






小瀧『そ〜っすね笑まぁ、今ハマってるのは…』





共演者の人と話すみんな。
たまに笑いを取りながら話を進めていく。




貴「みんな頑張ってるな…」





お母さんが気を使ってテレビを消そうとした。
だけど私はその手を止めて「別にいいよ。」そう言った。





貴「私だって負けないんだから。」







国家試験まであと一年。
私は自分の新しい夢に向かって歩き出した。

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