黒服のWESTくん 4 (ページ1)

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神山side

神山「Aの気持ちが大事やろ？」

貴「私は……正直、好きとか分からない。しげとはいつも一緒にお仕事して、笑い合って、大変なことも乗り越えてきたし。でもね？怖いねん。」

神山「なにが？」

貴「私が結論を出すことによって、しげが傷つくんちゃうかな？とか、もう前みたいな関係には戻られへんのちゃうかな？とか…」

俺は驚いた。
自分の気持ちを伝えてくれているAの頬には涙が流れてたから。

神山「A…？」

貴「なんで私が泣いてるんだろうね…。もうわかんないや。あのね？実はさっき望にも…告白されてさ。もう私わかんなくなっちゃった。なんで…私ってこんなに弱いんやろ。」

そう言って顔を隠すようにして涙を流し続けるA。俺はいてもたってもいられなくなり、つい、Aを抱きしめてしまった。

神山「望にも、しげに対して思ってる事と同じこと思ってるんやろ？」

貴「神ちゃん…？」

神山「俺はAの気持ち、いいと思う。わからんまでいいと思う。俺がAの立場やったら俺もわからんくて、苦しむと思う。」

俺は小さい子をなだめるのと同じように、できるだけ優しい声でAの頭を撫でた。
今の俺には、Aのことを抱きしめて慰めることしか出来ひんから。

貴「あの…神ちゃん？」

神山「ん？」

貴「く…苦しいねんけど」

神山「え！ああ！ごめんごめん！」

Aに言われて気づいたけど、かなりの強さでAを抱きしめてたらしい。

神山「とにかく、Aは自分の気持ちにそって答えだししたらいいと思う。誰かが傷つくこと恐れてたら前には進まれへんやろ？だから、自分の気持ちに自信もってみ？」

貴「うん。なんか今なら言えそうな気する。」

神山「そしたら、明日しげに言ってみるか？」

俺がそう言ってAの顔を覗き込むと、さっきまでの泣き顔はもうどこにもなく、その代わりにいつものAの笑顔が戻っていた。