【短編集】やる気は無いけど欲はある【そらる】

ゆめ ページ12

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夢をみた



そらるが見えるのに、触れられない夢だった



いつも見ている気怠そうな目は、赤くて



真っ白ですべすべの肌には沢山の涙の跡があって



「…っ、A」



しゃがんで、手を震わせて、ぼろぼろと涙を流すそらるがいた



あぁ、なんで泣いているの



そう思って、手を伸ばした所で目が覚めた



「っ」



嫌な、夢だった



だらだらと流れる冷や汗と頰を伝う涙



ゆっくりと体を起こして目元を拭う



仕事や作業の関係から普段は別々の部屋で寝ているが、なぜか落ち着かなくて



ドアを開けるとリビングに微かな明かりが漏れていた



「…あれ、A？」



ごくんと水を飲んで私に少し驚きながら近づくそらる



「そら、る」



「っわ！どうしたの」



そんないつも通りのそらるを見たら涙が止まらなくて



「そらるに触れないゆめ、見て」



ただ単純に怖かった



別に普段から涙脆い訳ではない



でも小さい頃からそういう想像をしては1人で怖くなった



「…そっか」



それだけ優しく言ってぽんぽんと背中を叩くそらる



「近くにいるから、ね？」



そう優しく言ってぎゅーと腕に力を込めるそらる



「今日は一緒に寝ようか」



力を緩めて私を見て



少し笑って私の手を取るそらる



毛布をかぶって、目を閉じて



「おやすみ」



今度は俺のいい夢見てね、そんな声と同時に髪を撫でる感覚がして



頰に触れる微かな柔らかい温かさを感じれば



あぁ、今なら



貴方との幸せな夢が見れそうだ



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