天然……? 理鶯視点 ページ12
出会った頃のAは状況が状況で、決して良い状態では無かった。
初めはどうなるかと心配ではあったが、思っていた以上にAの回復は早かった。
けれど、何故病院行きを拒否したのか……どうして夜の海辺で一人倒れていたのか……左馬刻達も言っていたが謎が多い。
気にはなるが、人にはそれぞれ言いたくない過去だってあるだろう。
だから、小官は無理に詮索しようとは思わない。
(この辺りは足場が悪いな。Aはついてこれているだろうか)
後ろを振り返ると、倒れている木々等をなんなく超え、身軽に動きながらAが疲れた様子も見せずについて来ていた。
「……お前は、意外と体力があるようだな」
「それなりには、な?」
その時、小官はあるものに気付いて、立て続けに倒れている大木から飛び降りるAを咄嗟に受け止めた。
突然の出来事にAは驚いた表情を浮かべて小官を見上げる。
「え、何事」
「下に蛇が居た。危うく踏んでしまう所だったな」
「あ、あぁ。なるほど。それは……助かった。だからおろしてくれ」
現状、小官の左腕に座る形でAを持ち上げているのだが、Aは俯きながら「うちの連中にだってこんな持ち上げられ方されたことないぞ……」と呟いていた。
(うちの連中……?それはともかく……)
言われた通りAを地面におろすと、Aは軽く咳払いをしながら顔を上げる。
「よくよく考えたら、私が海辺で気絶していた時に運んでくれたのも理鶯だったらしいな」
「?そうだが、それがどうかしたか」
「いや。次から運ばれないよう気を付けようと思っただけだ。気絶してる時ならともかく、意識がある時に運ばれるのはらしくないんでな」
「お前が何を気にしているのかよく分からんが、運ばれるのに“らしさ”は関係あるのか?頼りたければ、頼ればいい」
「そういう訳ではないのだが……まぁいいや。蛇は確保したろう?テントに戻るのかい?」
「あぁ。……運んでやろうか?」
「からかっているのなら遠慮するぞ」
「そのつもりは無いのだがな」
結局Aも自分の足でテントまで歩いて帰り、偶然二人でやって来た左馬刻達にこの話をしたら「天然たらしめ」と言われた。
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イマツギ(プロフ) - 続きが楽しみです。お時間があれば更新頑張ってください! (2022年3月12日 12時) (レス) @page34 id: f5ff06f155 (このIDを非表示/違反報告)
紅 - 面白い!更新頑張って下さい! (2020年4月10日 13時) (レス) id: ceacd95bed (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:遙 | 作成日時:2016年2月6日 20時