相反恋愛 Ⅲ【ドラコ・マルフォイ】 (ページ12)

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Story 104 ページ12

＊

病室で横たわるお父様は、あまりにも酷い怪我だった。

綺麗な顔が傷だらけになって、包帯でぐるぐる巻き。

幼少期から無敵だと思っていたお父様の像が、いとも簡単に崩れ去った。

私たちがお父様の前に出ると、お父様は笑顔で迎え入れてくれた。

アベ「よく来たね」

『お父様…怪我、は…』

どうも私は最近涙脆い。

お父様の顔を見ただけで鼻の奥がツンッとなる。

アベ「マユ、おいで」

そんな私を見て、お父様は腕を広げた。

お父様にゆっくり近づくと、優しく抱きしめてくれた。

『うッ…ぁッ…お父様ッ…よ、かッ……』

アベ「心配かけて悪かったね。アランも。」

アラ「ッ父上…っ…」

お兄様も泣くのを我慢してたんだろう。

父上、そう呼ぶお兄様の声は掠れていた。

レティ「アベル。調子はどう？」

アベ「まぁまぁさ」

お母様はお父様の頬にキスをして心配そうな顔をしている。

アー「アベルが助けてくれなかったら私は死んでいただろうな！」

隣のベッドに横たわるアーサーさんが笑いながら言う。

そんな笑い事じゃ…

しかも自分の家族の前で…

アベ「そんな不謹慎なこと言うなアーサー」

アー「すまないすまない。いや、でも本当に…君には感謝しているんだアベル」

アベ「もう良いから…こんな大の大人同士恥ずかしい」

お父様が照れくさそうにアーサーさんに返事をする。

良かった…ほんとに…

みんな無事だ…

お父様たちを見て、その場の全員が笑みを零した。

今回の事件の詳細を聞くことは出来なかった。

フレッドとジョージがアーサーさんに問い詰めていたけど、全てはぐらかされてしまったからだ。

その後すぐ、ムーディさんとトンクスが病室へとやってきた。

あぁ、これは追い出されるやつだ。

案の定、私たち子供は病室の外へと出された。

中で騎士団の話をしているのは明確。

フ「はい、分かりました。だなんて黙ってられるわけないだろ」

ジ「聖マンゴが病棟のドアに”邪魔よけ呪文”をかけているかどうか、見てみようじゃないか」

フレッドとジョージが伸び耳を使って中の会話を聞こうとしている。

紐を解き、五本の伸び耳に分けると、私たちに配ってくれた。

フレッドたちの言う通り、黙って待ってられる訳が無い。

私は伸び耳を耳に差し込む。

中の囁き声が、まるでそばにいるかのようにはっきりと聞こえてきた。