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第八十四話 ページ41







あの後のことはあまり覚えていないが、





ありとあらゆる感情を失う感覚に襲われたことだけは覚えている。






冬仁に無理矢理手を引かれ、屋敷に戻った。





流石の冬仁も私の変貌ぶりに心配したのか、ゆっくり休めと言い残して消えた。





…こんなに静かだっただろうか。





元々、一人だったのにな。





ピシッと何かにヒビが入る音がする。





徐々に戦えなくなって、遂には元々一人だったことが分かって、





もう私は必要とされなくなる。





だったら早く、家族の元へ行きたい。





寝るに寝れず、縁側に座りぼんやりと月を眺めていた。





すると、裏口が開く音がし誰かが入ってくる気配を感じる。





きっと前までの私なら直ぐに刀を構えていただろうが、今となってはどうでも良い。





それに何となく、誰かわかる。





杏「麻友…!」





『……』





ほらな。





煉獄は音を立てないように私に近づいてくる。





煉獄が、汚れて見える。





あの女のせいだ





なにもかも





杏「折角の逢引を邪魔されてしまった。また今度仕切り直そ『良い。』…麻友?」





煉獄に顔を向けず、ただただ月を見上げている。





お前と逢引?





笑わせるな。





杏「…麻友、こっちを見ろ。」





『……』





視線だけ煉獄の方へ向けると、煉獄は明らかに目を見開いている。





流石の煉獄も気づくか。





杏「っ何があった。まるで今の麻友は…」





『昔の凍った人形、とでも言いたいのだろう。』





杏「っ…冬仁に何かされたのか」





『されていない。』





杏「ならどうして…!」





『うるさい。黙れ。』





自分でも驚いてしまうくらいに低い声が出た。





まぁ、顔には出ないが。





杏「麻友『私の名を呼ぶな。』ッ何があった。答えてくれ。」





『貴様があの女と関係を持っていたことを聞いた。』





私がそういえば、動揺の色を見せる。





あぁ、本当なのか。





なら、やはり意図的に隠していたということだな。





『よくもあんなスラスラと嘘がつけたものだ。私をずっと好きだっただと?全て嘘ではないか。あの女と関係を持っていた時期と私を想っていたと言っている時期が被っている。虫唾が走る。』





杏「話を聞いてくれ。」





『今更何を言う。私はもう聞く気などない。それにもう直ぐで柱を降りる。お前と関わることも無くなるだろう。お前もお前でよりを戻したらどうだ。想い人だったのだろう?』





私は初めて煉獄に対して憎悪の感情を向けた。

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真季 - 続編おめでとうございます。引き続き楽しみにお待ちしてます。 (2021年10月7日 23時) (レス) id: ac0ba7e69a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:かふぇらて | 作成日時:2021年10月7日 22時

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