検索窓
今日:1 hit、昨日:11 hit、合計:58,068 hit

第七十六話 ページ32








『夕食までご馳走してもらって申し訳なかったな』





杏「気にするな!!千寿郎のあのような笑顔、久しぶりに見れたしな!!」






煉獄の屋敷へと邪魔すると、煉獄の弟の千寿郎がわざわざ出迎えてくれた。






私が最後に会った頃より成長していて、時の流れを感じたものだ。






煉獄と例の話をしてすぐに帰るつもりだったのだが、千寿郎が是非!と聞かず…





夕食までご馳走になってしまって今に至る。





『煉獄の部屋も久しいな…』





杏「そうだな!幼少期はよく来ていたんだがな!」





私たちは縁側に座りながら本題に入る前に談笑を楽しんでいた。






そして、しばらく話したあと…私が切り出す。






『…煉獄に聞いたいことがあると言っただろう?』





杏「…うむ!!なんだ?」





『も、し…』





心臓がうるさい。





呼吸もしにくい。





でも、せめて聞くだけでも…





『もし……私が二度と煉獄の隣で二度と戦えないと言ったら…どうする…?』






嫌な汗が流れて、煉獄の顔が見れない。





肝心の煉獄も黙ったままだ。





『煉ご「うーむ!!」…!』





腕を組みながら真っ直ぐ前を見つめる煉獄。





竈門の時のようにキツイと言われてしまうのだろうか。





やはり、これ以上先は聞きたくない。





『…悪い、ちょっとした出来心だ。変なこと聞いて悪かったな。そろそろお暇しよう。』






逃げるように腰を上げると、「待て」と腕を掴まれる。





杏「気づいてたぞ。」





『…っ…』





杏「麻友の身体が不自由になってしまっていたこと。そして、苦しんでいたこと。」





『…やはりか、』





杏「他の柱も気づいている。」





『っ……わ、たしは…』





鼻の奥がツンとする。





泣くな。





仕方ないことだろう?





これが私の運命だ。





杏「君の口から聞きたかったから黙っていた。すまなかった。」





私と目を合わせず煉獄は目を閉じる。





父上





私は、もうそろそろ良いでしょうか…





貴方が亡くなって早九年。





私は貴方の跡を継いで九年も柱として生きてきました。





身体にもガタがきてしまっているようです。





もう前のように戦えません。





これでは誰かを守ることなんて到底無理です。





貴方の娘の最後のわがままです。





お許しください。





『煉獄…私は柱を降りようと思う。』





杏「…そうか」





涙を我慢すると声が震えてしまう。





でも、そんな私を煉獄は優しい目で見つめていた。

第七十七話→←第七十五話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (52 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
268人がお気に入り
設定タグ:煉獄杏寿郎 , 鬼滅の刃 , 炎柱
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

真季 - 続編おめでとうございます。引き続き楽しみにお待ちしてます。 (2021年10月7日 23時) (レス) id: ac0ba7e69a (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:かふぇらて | 作成日時:2021年10月7日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。