第七十六話 ページ32
*
『夕食までご馳走してもらって申し訳なかったな』
杏「気にするな!!千寿郎のあのような笑顔、久しぶりに見れたしな!!」
煉獄の屋敷へと邪魔すると、煉獄の弟の千寿郎がわざわざ出迎えてくれた。
私が最後に会った頃より成長していて、時の流れを感じたものだ。
煉獄と例の話をしてすぐに帰るつもりだったのだが、千寿郎が是非!と聞かず…
夕食までご馳走になってしまって今に至る。
『煉獄の部屋も久しいな…』
杏「そうだな!幼少期はよく来ていたんだがな!」
私たちは縁側に座りながら本題に入る前に談笑を楽しんでいた。
そして、しばらく話したあと…私が切り出す。
『…煉獄に聞いたいことがあると言っただろう?』
杏「…うむ!!なんだ?」
『も、し…』
心臓がうるさい。
呼吸もしにくい。
でも、せめて聞くだけでも…
『もし……私が二度と煉獄の隣で二度と戦えないと言ったら…どうする…?』
嫌な汗が流れて、煉獄の顔が見れない。
肝心の煉獄も黙ったままだ。
『煉ご「うーむ!!」…!』
腕を組みながら真っ直ぐ前を見つめる煉獄。
竈門の時のようにキツイと言われてしまうのだろうか。
やはり、これ以上先は聞きたくない。
『…悪い、ちょっとした出来心だ。変なこと聞いて悪かったな。そろそろお暇しよう。』
逃げるように腰を上げると、「待て」と腕を掴まれる。
杏「気づいてたぞ。」
『…っ…』
杏「麻友の身体が不自由になってしまっていたこと。そして、苦しんでいたこと。」
『…やはりか、』
杏「他の柱も気づいている。」
『っ……わ、たしは…』
鼻の奥がツンとする。
泣くな。
仕方ないことだろう?
これが私の運命だ。
杏「君の口から聞きたかったから黙っていた。すまなかった。」
私と目を合わせず煉獄は目を閉じる。
父上
私は、もうそろそろ良いでしょうか…
貴方が亡くなって早九年。
私は貴方の跡を継いで九年も柱として生きてきました。
身体にもガタがきてしまっているようです。
もう前のように戦えません。
これでは誰かを守ることなんて到底無理です。
貴方の娘の最後のわがままです。
お許しください。
『煉獄…私は柱を降りようと思う。』
杏「…そうか」
涙を我慢すると声が震えてしまう。
でも、そんな私を煉獄は優しい目で見つめていた。
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真季 - 続編おめでとうございます。引き続き楽しみにお待ちしてます。 (2021年10月7日 23時) (レス) id: ac0ba7e69a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かふぇらて | 作成日時:2021年10月7日 22時