雨と炎は交われない弐【煉獄杏寿郎】 (ページ31)

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第七十五話ページ31

＊

屋敷へ戻る最中、丁度よく煉獄の後ろ姿が見えた。

『煉…』

声をかけようとした時、先程の冨岡の言葉を思い出した。

義「鬼殺隊にはお前が必要だ。そんなに不安なら、他の柱にも聞けばいい。誰一人としてお前を邪魔だと言う奴はいないだろう。」

こんなこと、聞いていいのだろうか。

というより…雨辻の名が廃るのでは…？

『っ……』

怖くて聞けない。

『煉獄』

杏「…！麻友！！」

私を見つけるだけで嬉しそうに駆け寄ってくるお前は、

『ただいま』

杏「お疲れだったな！！」

私が隣で二度と戦えないと言ったら

『煉獄は非番か？』

杏「うむ！！今日は竈門少年と鍛錬をしていた！！」

『ふはっ…そうか』

もう、その笑顔は見せてはくれなくなるのだろうか

杏「…どうかしたか？」

『ん、何故だ？』

杏「元気がないように見える」

何かあったら言ってくれ、そう私に言う煉獄は悲しそうな顔をしている。

言わなければならない

それに、今隠していたところでいずれはきっともう…

『…今日、煉獄の屋敷へ行っても良いだろうか』

杏「…！勿論だ！！なんなら今から一緒に行こう！！」

煉獄は私の手を取り歩き出す。

大きな手だな。

この手でこれからも沢山の人々を救っていくんだろう。

…私も、まだまだ戦いたかった。

『煉獄に…話しておきたいことがあるんだ…』

俯きがちに呟く私に、煉獄はふっと笑って

杏「あぁ、君の話ならいくらでも聞こう。だからそんな顔をしないでくれ」

優しい手つきで私の頭を撫でる。

これで嫌われてしまったら…もう仕方がない。

これが私の運命だったということだ。

元々雨辻家は短命であったから、私は死なない分、身体の自由が聞かなくなってしまうのだろうな。

煉獄、お前は受け止めてくれるか？