第五話 ページ6
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杏「ご苦労だったな!麻友は俺に任せて先に帰ると良い!」
「し、しかし…」
私に着いてきた部下なのだから、私の指示以外で動くのを躊躇い中々動こうとしない。
『煉獄の言う通り、帰りなさい。見苦しい姿を見せてしまって申し訳なかった。帰って身体を休めると良い。』
私がそう言えば、頭を下げて撤退して行った。
そしてその場に残された私と煉獄。
『…何故来た』
杏「雨小宵が必死に俺を呼びに来たからな!」
『だからと言って、来る必要もなかっただろう。』
こんな情けない姿、煉獄に見せたくなかった。
幻滅されてしまうのだろうか。
杏「俺は来たかったから来た。麻友が心配だったから来た。それが理由ではダメなのか?」
『っ…!』
煉獄は膝をついて私と目線を合わせると、額の泥を拭い取ってくれた。
そしてそのまま私は煉獄の腕の中に。
『れッッ!?///』
突然抱き締められ、思考と心臓がついていけない。
杏「よく頑張った!お前は人一倍責任感が強いからな!とても心配になる。お前は無理をしすぎるところがある!こんな風に綺麗な顔を泥に擦り付けたりな!はは!」
私の背をバシバシ叩きながら励ましなのかなんなのかよく分からない言葉をかける。
それでも、私はさっきまでの不安が薄れていく気がした。
体を預けると、む!?と声が上から降ってきて、ドクンッと煉獄の心臓が波打った音が聞こえてきた。
煉獄も動揺しているのか…?
いや…煉獄に限ってそれはない、か。
『…すまなかった。わざわざここまで出向いてくれてありがとう。もう、大丈夫だ。』
しばらく煉獄に抱きしめられていた私は、そろそろ…と体を離し、立ち上がった。
杏「…そうか!それは良かった!では、帰ろう!」
『…?あぁ。そうだな。』
任務を終えたことを雨小宵に連絡するように頼み、私たちはその場から離れた。
杏「…」
『…煉獄?』
杏「…ん!?なんだ?」
『いや…なんでもない…』
杏「そうか!」
「『…』」
煉獄がやけに静かだ。
いつもなら煩いくらいに話しかけてくるのに。
何かあったのか…と煉獄の方を向くと
「『…!!』」
バチッと目が合った。
それはそれはもう一瞬で私は目を逸らした。
何故私を見ていたんだ。
心臓に悪いからやめて欲しい…
杏「……///」
煉獄が、額を押えて何かに耐えていたことは知る由もない。
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真季 - 最新楽しみにお待ちしてます。長くなってすいません汗 (2021年10月4日 7時) (レス) id: ac0ba7e69a (このIDを非表示/違反報告)
真季 - 初めまして。お疲れ様です。最新も早くて楽しみに読み進めて来ました。夢主よ、どうか自分の気持ち正直になって煉獄さんと恋仲になって下さい…!あの鬼殺の男、怪しい匂いが漂ってますね…。彼女に手を出したその時は是非、煉獄さんの赤き炎刀で…! (2021年10月4日 7時) (レス) id: ac0ba7e69a (このIDを非表示/違反報告)
冴凪(プロフ) - とても面白いです!話のテンポも良くてワクワクしながら読みました!更新ファイトです! (2021年9月30日 22時) (レス) @page12 id: 8d3f590c11 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かふぇらて | 作成日時:2021年9月29日 1時