第四話 ページ5
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「南南西!!南南西ニムカエ!!」
『承知』
私の鎹鴉、
私が着いた頃には、もうそこはもう地獄絵図と化していた。
何処を見ても血溜まりに倒れる隊士達。
あの子は私の柱稽古にきていた隊士だとか、あの子は雨の呼吸を会得しようと頑張っていた子だとか。
彼らが生きて笑っていた頃の事を思い出しては苦しくなった。
そこで気配を感じ取る。
柄に手をかけ構えると、案の定飢えた化け物が物凄い勢いで此方へ向かってきた。
言葉も話せないような雑魚。
先程から奇声を発している。
『貴様が何を言っているのか私には分からん。しかし、私の大切な仲間をこんな目に合わせた報い、受けてもらうぞ!!”雨の呼吸_壱ノ型 糸雨”!!』
雨の一粒一粒が刃となって鬼に突き刺さる。
痛みに悶え苦しんでいる間に、私は鬼の頸を斬る。
『雨の呼吸_弐ノ型 滝落とし』
水の呼吸の派生である雨の呼吸、弐ノ型である滝落としは滝壺と似ている。
ボトリと落ちた鬼の頸を確認すると、刀を鞘に戻した。
「流石は雨柱様だ…」
「一瞬で片付けてしまった」
「でもこんな呆気なく終わるなら、こんなに死ぬ前に来て欲しかった」
『っ…』
その通りだ。
私がもっと早く来ていれば、こんなことにはならなかったのかもしれない。
いや、ならなかっただろう。
雨「お前ハ悪クナイゾ」
『…いや、私が悪い。もっと早くここに向かっていれば…大切な隊士の命を失わずに済んだ。』
雨「麻友…」
雨小宵が私の肩に停まって優しい言葉をかけてくれるが、それ以上に先程の隊士の言葉が突き刺さって抜けなかった。
『…すまなかった。私が遅れたばかりに危険な思いをさせてしまった。』
気づいたら私は抜かるんだ地面に額を擦り付け、隊士に向かって土下座をしていた。
「おやめ下さい雨柱様ッ!!」
隊士たちが悲痛な声を上げて私の顔をあげようとする。
今は上げられない。
今あげれば、涙が溢れてしまいそうになる。
柱のくせにこんなことで涙を流していたらいけない。
ダメなんだ。私は。
雨辻の名を汚してしまう。
あれほど叫んでいた隊士が突然静かになった。
杏「顔を上げろ麻友」
『…っれ、んごく…?』
何故、煉獄がここに…
顔を上げれば、煉獄の肩に雨小宵が停まっていた。
お前の仕業か…
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真季 - 最新楽しみにお待ちしてます。長くなってすいません汗 (2021年10月4日 7時) (レス) id: ac0ba7e69a (このIDを非表示/違反報告)
真季 - 初めまして。お疲れ様です。最新も早くて楽しみに読み進めて来ました。夢主よ、どうか自分の気持ち正直になって煉獄さんと恋仲になって下さい…!あの鬼殺の男、怪しい匂いが漂ってますね…。彼女に手を出したその時は是非、煉獄さんの赤き炎刀で…! (2021年10月4日 7時) (レス) id: ac0ba7e69a (このIDを非表示/違反報告)
冴凪(プロフ) - とても面白いです!話のテンポも良くてワクワクしながら読みました!更新ファイトです! (2021年9月30日 22時) (レス) @page12 id: 8d3f590c11 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かふぇらて | 作成日時:2021年9月29日 1時