第三話 ページ4
*
『……』
杏「うまい!うまい!」
『もう少し静かに食べれないのか…』
本当に甘味処に来てしまった。
先日甘露寺に勧められたぱんけぇきとやらを頼んだのだが、甘すぎて私の口には合わなかった。
隣で美味しそう(?)にぱんけぇきを食べる煉獄。
…整った顔だな。
杏「む!どうした?顔になにかついてるか?」
『…!い、いや…違う…すまない。気にするな。』
しまった。見すぎた。
恥ずかしいことに、雨柱であろうこの私はこの男…炎柱の煉獄杏寿郎を慕っているのだ。
嫌でも目に入るし、嫌でも気配を察することが出来る。
愛だの恋だのにうつつを抜かしてはいけないのに。
杏「今日もお前は綺麗だ」
『なっ…に、をっ!?////』
突然髪を掬われたと思ったら、ニコリと笑ってそう言った。
なんなんだ。
突然なんだこいつは…っ
こういうところだ。私が嫌いなのは!!
私の気も知らずこうも惑わすような…っ
杏「はは!顔が赤いぞ!愛いな!」
『だ、黙れ!///わ、私はそろそろ帰る!!志雨に薬を届けなければならないからな!!』
杏「む!?麻友!?」
金だけ置いて私は逃げ出した。
くそっ、鼓動が速い。
顔も熱い…
こんな女らしい自分が嫌いだ…
それに、私は煉獄はそんな関係になど…
自分の屋敷が近づくと私は足を止めた。
『…不安定がすぎるな。情けない。』
雨と炎など相反するものだ。
それに、私と関わって…誰かが死ぬのは…
『っ…はぁ…。志雨!戻ったぞ!』
志「姉上…!おかえりなさいませ…!」
動くなとどれだけ言っても、志雨は私の出迎えをしてくれる。
本当に心が綺麗な子だ。
『こらこら、あまり動くな。胡蝶から薬を貰ってきた。それを飲んで少し眠りなさい。』
志雨の肩に私の羽織をかけ、優しく背中を押す。
志「ふふっ…わざわざありがとうございます姉上」
『気にするな。』
志「姉上が…早くお相手を見つけて、幸せになってくだされば俺も安心できるんですけどね…」
『…何を言う。お前が元気になるまで、幸せになってたまるか。それに私は柱だ。いつ死ぬか分からないのに、相手なんて…』
志「俺は、煉獄様がいいです」
志雨の身体を横にさせていると、そんなことを言って笑った。
『…困った子だ。』
なんて苦笑する私を見て、微笑みながら志雨は目を閉じた。
本当に、困った子だよ。
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真季 - 最新楽しみにお待ちしてます。長くなってすいません汗 (2021年10月4日 7時) (レス) id: ac0ba7e69a (このIDを非表示/違反報告)
真季 - 初めまして。お疲れ様です。最新も早くて楽しみに読み進めて来ました。夢主よ、どうか自分の気持ち正直になって煉獄さんと恋仲になって下さい…!あの鬼殺の男、怪しい匂いが漂ってますね…。彼女に手を出したその時は是非、煉獄さんの赤き炎刀で…! (2021年10月4日 7時) (レス) id: ac0ba7e69a (このIDを非表示/違反報告)
冴凪(プロフ) - とても面白いです!話のテンポも良くてワクワクしながら読みました!更新ファイトです! (2021年9月30日 22時) (レス) @page12 id: 8d3f590c11 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かふぇらて | 作成日時:2021年9月29日 1時