第二十七話 ページ29
*
『店主、悪い。気が変わった。またの機会に寄らせてもらう。』
「あらあら…お二人にお会いにならなくて大丈夫なのですか?」
『良い。では、また。』
店主に軽く頭を下げ、私は甘味処を離れた。
離れる前に、甘露寺と煉獄が楽しそうに談笑する様子が見えてしまった。
ズキリと痛む心臓を押さえ、目を逸らす。
情けない。
自分は煉獄の気持ちに答えず逃げるくせに、嫉妬はするだなんて。
図々しいにも程があるな。
甘露寺は私と違って可愛らしいし、女らしい。
よく笑い、よく話すとても良い子だ。
私とは違う。
『こんな堅物より良いに決まってる。』
先程の光景を忘れるように目を伏せた。
その時
実「よォ、麻友じゃねェか」
『…!不死川』
私の前方から不死川が歩いてきた。
実「任務帰りかァ?」
『…まぁ、そんなところだ。』
実「へェ甘味処から出てきたのが見えたけどなァ」
『…見ていたのにその質問の仕方は卑怯だぞ。』
見上げて睨めば口端を上げて悪ィと一言
実「たまたまこの辺歩いてたら甘味処に入っていくお前を見つけてよォ…何を買ったのかと思えば、何にも手に持たずに出てきやがるわ、シケたツラしやがるわで気になってきちまった」
『そんな前から見てたなら話しかければ良かっただろう。』
実「それじゃあつまんねぇだろ」
相変わらず意地の悪い…
柱の男には女を虐めるのが好きな変態が多すぎる。
はぁ…とため息を一つこぼす。
杏「む!麻友と不死川ではないか!」
『…!!』
蜜「きゃー!麻友ちゃん!久しぶり!!」
最悪だ…会いたくなかったから直ぐに引き返したというのに…
『…っ!?』
そんな私の表情の変化に気づいたのだろうか、不死川が私の腕を突然引く。
実「今会ったところ悪ィが、俺と麻友はこれから用があんだよ。後は二人で楽しめや」
不死川は麻友行くぞ、と私の腕を引いたまま歩き出す。
私もその場にいたくなかったので大人しく従っていたのだが…逆の腕を勢いよく掴まれ身体が傾く。
『…なんだ、離せ煉獄。』
杏「用とはなんだ?そんな大切な用なのか?」
実「お前には関係ねェ。さっさと離せ。」
杏「俺は麻友に聞いている」
『…お前には関係の無い話だろう。甘露寺と”逢引”しているのだから他の女に目移りするな。』
思い切り煉獄の手を振り払い、不死川とその場を後にした。
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真季 - 最新楽しみにお待ちしてます。長くなってすいません汗 (2021年10月4日 7時) (レス) id: ac0ba7e69a (このIDを非表示/違反報告)
真季 - 初めまして。お疲れ様です。最新も早くて楽しみに読み進めて来ました。夢主よ、どうか自分の気持ち正直になって煉獄さんと恋仲になって下さい…!あの鬼殺の男、怪しい匂いが漂ってますね…。彼女に手を出したその時は是非、煉獄さんの赤き炎刀で…! (2021年10月4日 7時) (レス) id: ac0ba7e69a (このIDを非表示/違反報告)
冴凪(プロフ) - とても面白いです!話のテンポも良くてワクワクしながら読みました!更新ファイトです! (2021年9月30日 22時) (レス) @page12 id: 8d3f590c11 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かふぇらて | 作成日時:2021年9月29日 1時