第十九話 ページ20
*
『身体が動かせないのは不便だな…』
内臓損傷、全身骨折…よくこれで生きていたと胡蝶に呆れられた。
志雨に一目だけ会いたい。
『すまない、少し良いか?』
丁度良く廊下を通りかかった女の子に声をかける。
青色の蝶飾りを着けている…可愛らしいな。
ア「どうしました?」
『志雨の…弟の元へ行きたいのだが…良いだろうか』
ア「弟……あ、…でも、しのぶ様に雨柱様は絶対安静と言われているんですよ」
そう、だよな…
いくら生きていたって、身体が動かせるとは言えない。
これ以上胡蝶に迷惑はかけられない。
『…そうか。引き止めて悪かった…』
軽く微笑んで、外に視線を移した。
志雨……
ア「……雨「麻友さん」しのぶ様!」
『胡蝶…?』
し「私が付き添っても宜しいなら、少しの間だけ許可しますよ」
『…!本当か…?』
し「このまま、葬儀を行ってしまうのも心苦しいですから」
胡蝶も姉を失っている身。
私の気持ちは少なからず分かってくれているのだろう。
『ありがとう、胡蝶』
胡蝶と青色の蝶飾りを着けている少女の手を借りて、立ち上がろうとしていると、「麻友!!」とこれまた大きな声で名前を呼ばれた。
し「煉獄さん…貴方また来たんですか?」
杏「ははは!!麻友に会いたくてな!!」
呆れる胡蝶に相変わらずの煉獄。
『毎日毎日見舞いに来るほどお前は暇ではないだろう…』
杏「このために任務をさっさと終わらせてきているから大丈夫だ!」
私が大丈夫ではないのだが…
し「はいはい。煉獄さんの麻友さんに対するお熱い思いは十分伝わりましたよ。麻友さん、動きますよ?」
『あぁ…ッぅ…やはり痛むな…』
杏「む。何処かへ行くのか?」
『志雨の所へ…。顔を見たくて…』
杏「なるほど。よし!!胡蝶!麻友は俺が連れていこう!」
「『は?』」
大股で近づいてきたかと思えば、膝裏に手を入れ、私を抱き抱えた。
『っ…!?』
杏「この方が早いだろう!!それに、これなら麻友に負担がかからない」
し「それもそうですね。丁寧に扱ってくださいね?今の麻友さんは硝子のように繊細ですから」
煉獄の豪快さを知っている胡蝶は、念押しして注意する。
でも胡蝶、
煉獄は負担どころか、痛みを全く感じないように抱えてくれている。
杏「では行こう!!」
『あぁ…』
煉獄は優しいんだ。
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真季 - 最新楽しみにお待ちしてます。長くなってすいません汗 (2021年10月4日 7時) (レス) id: ac0ba7e69a (このIDを非表示/違反報告)
真季 - 初めまして。お疲れ様です。最新も早くて楽しみに読み進めて来ました。夢主よ、どうか自分の気持ち正直になって煉獄さんと恋仲になって下さい…!あの鬼殺の男、怪しい匂いが漂ってますね…。彼女に手を出したその時は是非、煉獄さんの赤き炎刀で…! (2021年10月4日 7時) (レス) id: ac0ba7e69a (このIDを非表示/違反報告)
冴凪(プロフ) - とても面白いです!話のテンポも良くてワクワクしながら読みました!更新ファイトです! (2021年9月30日 22時) (レス) @page12 id: 8d3f590c11 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かふぇらて | 作成日時:2021年9月29日 1時