1. 生 ページ1
やけにうるさい耳鳴りが、俺の頭を支配している。
｢死ねないね｣
｢あぁ、死ねないな｣
血塗れたカッター片手にやっぱりかと落胆する彼女、A。
出会って約5年。ずっと傍に付いてきて、無邪気に笑うAが好きだった。
死にたいと、Aが嘆くようになったのはいつだっただろうか。
理由は知らない。
突然そう言い出した。
ーねぇ焦凍、私を殺してー
突然そう言い放ったAに、当時の俺は泣きながら怒っていた気がする。
親父には内緒で出来た友達だったのだ。
初めての、恋の相手だったのだ。
そんな彼女の願いでも、聞き入れることはできずに思わず頬を叩いてしまったことを覚えている。
でも変わらなかった。
1日に1回は死にたいと言い、週に2回は死のうとする。
それは止められず、何度も何度もAの血を見た。
｢今日はもうやめよう｣
｢そだね。片付けよ｣
カチャカチャと、買ってきたばかりのカッターをゴミ袋にいれた。それを行うAの白い手に映える傷口がじゅくじゅくと動いて傷を塞いでいく。
切った手首も元通り。
Aの個性は再生。死ねない体だ。
Aの中で、個性が生きているかのように傷が瞬く間に治ってしまう。
だから死ねない。
死なないでくれ、なんて何度言ったんだろう。
心の叫びはなんで伝わらないんだろう。
俺がどんなに、その体を傷つける手を止めようとしたかなんてお前にはわからないんだろう。
｢どうしたの？轟く、焦凍｣
｢あ、いや、なんでもない｣
なにか今、違和感が脳を刺激した。
へんなの焦凍、とくふふと笑うA。
あれ、俺、Aと出会ったの、いつだっけ。
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緋色 - 他の読んだことのない作品、全て読ませていただきました。切なく美しいオチの作品ばかりで思わず涙腺緩みました…これからも頑張ってください！！ (2018年10月5日 22時) (
レス) id: 04ecd32bcd (このIDを非表示/違反報告)
にゃん(プロフ) - 緋色さん» ありがとうございます！！来世で結ばれますように！！ファンなんて…！！！感謝感激です！！よろしければ他の作品も読んでみてくださいね！ (2018年10月5日 11時) (レス) id: e7a720d445 (このIDを非表示/違反報告)
緋色 - こんなに素晴らしい作品をありがとうございます…夢主と轟くんが来世で結ばれることを祈っています！これからも頑張ってください！！大大大ファンになっちゃいました…これからもにゃんさんの作品を楽しみにしています！！！これからも頑張ってください！！！ (2018年10月4日 23時) (レス) id: 04ecd32bcd (このIDを非表示/違反報告)
緋色 - 分かりやすく説明してくださりありがとうございます！意味が分かりました！切ない話ですね…夢主は自分の身を犠牲にしてまで轟くんを助けたかったんですね…意味わかった瞬間泣いちゃいました…占ツクでこんなに泣いたの初めてです… (2018年10月4日 23時) (レス) id: 04ecd32bcd (このIDを非表示/違反報告)
にゃん(プロフ) - なれた。好きな人を、轟くんを守ったヒーローになれたと、伝えました。。こんなところでしょうか。知りたいところが違ったらすみません！また教えていただけたら説明いたします！ファンだなんて！！ありがとうございます！！ (2018年10月4日 22時) (レス) id: e7a720d445 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：にゃん | 作成日時：2017年6月23日 20時
