残り少ない花火……45 ページ46
たくさんありすぎた花火も、徐々に飽きてきたんだろうか。火をつける回数が少なくなった。
妙さんもロケット花火を置いて砂浜に足を伸ばして座り込んでいる。
疲れちゃったわ、と新八くんと話していた。
そろそろ帰るか、と桂が妙さんたちを宿に誘う。
私はまだ、海の風を浴びていようと思ったのだが、どうやら坂田も同じのようで水の近くに寄っていく私に付いてきた。
「ね、ありがとう坂田。」
「お?あぁ。ヅラから仕事詰め詰めで休めてないって聞いてたからな。高杉のせいだろ。言っとくわ。」
さすがに一緒に住んでたらわかるか。
私がやるから帰っていいよと妙さんたちに言ったため花火の残骸が散らばっていた。花火の残骸を片付けながら坂田と話した。
水の入ったバケツに残骸を入れていく。
ちょうど同じものを拾おうとしたようで、手が当たってごめん、と手を引いた。どっちも。
なぁ、と坂田が口を開く。
「今更だけど、同窓会ん時の謝る気はねぇから」
「……は?」
なんで今、そんなこと、と。坂田の方を向けばいつもよりずっと真剣な顔。
少しだけ、息を飲んだ。
ファーストだと桂から聞いたし、ファーストが俺で良かったと思ってる。
正直にそう言う坂田の顔が、脳裏にこびりついた。
ファースト、と聞いて胸がきゅっとなるように苦しい。
「あん時、酔ってないしノリでもねぇ。ちゃんと俺の意思でやった。それだけは知っていてほしい」
気づいたら、坂田の手が私の頬に触れていた。
今、ほっぺた熱いからやめてよ、なんて言えるわけもなくただ、黙っている。
だって、その時まで絡んだことなくて、たまたま近くにいた私になんて、ノリでしか思えないでしょ、と途切れ途切れに言った言葉は坂田に伝わっているだろうか。
「その時のこと、思い出すと胸が苦しいんだよ。だって、初めてだった。」
嫌だと、思えなかった私が悔しい。
これは勘違いだ。
男慣れしてない私の、勘違い。
だってそうじゃなきゃ、こんな、ドキドキしないんだよ。
「勘違いじゃ、ねえ」
あの時みたいに暗くなった視界。
あの時みたいにあったかい唇。
あの時みたいに、綺麗な、まつげ。
あの時みたいに、また長い。そう感じるけど、嫌じゃない。
「2回目なら、苦しくならねぇだろ?」
なぁ、俺と付き合ってくださいと、抱きしめられた。
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月見おはぎ - 欲しいです!家に銀さん欲しいです!発注してぇぇぇ (2021年8月31日 18時) (レス) id: f413eaa44e (このIDを非表示/違反報告)
にゃん(プロフ) - 銀色さん» ありがとうございます!初々しい銀さんを書くのはとても楽しかったです!頑張ります! (2018年3月12日 18時) (レス) id: e7a720d445 (このIDを非表示/違反報告)
銀色(プロフ) - とても面白かったです!銀さん大好きなのでとてもドキドキしました。これからも頑張ってください (2018年3月11日 19時) (レス) id: 54384483c3 (このIDを非表示/違反報告)
にゃん(プロフ) - 龍神邪炎さん» うわあああやってしまいました!!ご指摘感謝ですっ!ありがとうございます!頑張らせていただきます! (2017年5月27日 17時) (レス) id: e7a720d445 (このIDを非表示/違反報告)
龍神邪炎(プロフ) - 武智じゃなくて武市ですよ〜。いつも楽しく読ませてもらってます!!これからも頑張ってください! (2017年5月27日 17時) (レス) id: 8839339b34 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:にゃん | 作成日時:2017年5月13日 19時