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『ん……?』
「A、起きた?」
目を擦りながら、起き上がるとそこはカラオケボックスのようだった。液晶画面からは新曲インタビューを受ける歌手の姿が映っている
『あぁ、そっか。カラオケに来たんだ』
「家だと思って寝てたの?あと30分だから、出よう」
カフェで話をして、カラオケに行こうと友人が言いカラオケに来たのだが、Aは睡魔に襲われて眠ってしまった。起きれば成川の姿はそこにはなく帰ったのだろう
スマートフォンを出して時間を確かめる
そこには22時13分の文字が刻まれていた
Aの門限は22時だ。アルバイトの時は過ぎても許してくれるが、今日はアルバイトはない。親からの不在着信が入っている
慌ててかけ直すと、電波が悪かった
『うん…あれ?お母さん?もしもし、聞こえる?』
何ならザザッという雑音とテレビの音なのか、知らないガヤガヤとした男性の声が聞こえ、切れてしまった
「A、どうしたの?」
『電波が悪くて…切れちゃった』
「珍しいよね、電波が悪いなんて」
カラオケのお金を払い、近くの駅まで歩いていた
「成川くん、今ルームシェアに住んでるらしくて、家出中だって」
『じゃあ、アルバイトでお金稼いでるの?』
「そーそー。いいアルバイトだって、私もやろうかなぁ」
Aにとって、成川の第一印象は爽やかな青年だと思ったのだがあのドロップが気になってしまった。
友人は彼に好意を抱いている。何をアドバイスすればいいのだろうか
『成川くんが持ってきた、ドロップ……本当に大丈夫なの?』
そう聞けば、友人は一瞬目を見開いたように見えたがその後はいつものように笑った
「大丈夫!お菓子みたいなもんだって。Aも試してみなよ、’あの人’の事忘れたいんでしょ?」
手に握らされたのはあのドーナツ型のドロップ。
「じゃあね!また月曜日!」
電車に乗り込む彼女を見送り、手の中のドロップを見た
カラオケの時も恋愛ソングを聞けば、志摩を思い出してしまった。考えることは忘れようとしたのに。
切長の目を細めて笑う姿。男性らしい手。手を振る姿
何もかも思い出せた
胸が苦しくなる
『好きです……好きです、志摩さん』
想いだけが募っていった
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黒万ス(プロフ) - seaさん» ご心配おかけしてしまいました…。復元により戻る事ができました!! (2020年9月24日 21時) (レス) id: 157648a083 (このIDを非表示/違反報告)
sea(プロフ) - お初にコメントします。 バグ解決されたようで良かったですね、私は以前戻らなかった事があったので大丈夫かなと勝手に心配しておりましたが、安心しました! (2020年9月24日 15時) (レス) id: 191a0b574b (このIDを非表示/違反報告)
黒万ス(プロフ) - 結さん» 誤字の指摘ありがとうございます! (2020年9月24日 7時) (レス) id: 157648a083 (このIDを非表示/違反報告)
結 - 続けてのコメントですみません(>_<) 物語読みました。 続きが気になります。 更新待ってますね。 (2020年9月24日 0時) (レス) id: 4332e38eb8 (このIDを非表示/違反報告)
結 - こんばんは(*^^*) 夜遅くにすみません...。 物語読んでいて気が付いたのですが...。 16のここの台詞 『志摩さんが出勤するまででいいので…少しだけでお家デートして欲しいです』 これ正しくは少しだけお家デートして欲しいですではないんでしょうか? (2020年9月24日 0時) (レス) id: 4332e38eb8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:黒万ス | 作成日時:2020年9月14日 22時