人殺しと呼ばれたアメリカ帰りの天才を優秀と野犬は好きになる MIU404 パート2 (ページ17)

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〜A〜

伊吹｢おっちゃん。生中一つ｣

陣場さんは気持ちよく鼻歌歌ってる

九重｢話しを聞きに来ただけでしょ｣

陣場｢俺の酒が飲めねえっつうのかよ〜｣

九重｢飲みません。アルコールハラスメントには屈しません｣

陣場｢筋トレにも付き合ってくんねえし｣

九重｢筋ハラにも屈しません｣

強いな九重さん

上司にそこまでハッキリ言えるなんて

陣場｢どいつもこいつもよ。俺が時代遅れのオヤジだってバカにしやがって｣

店主情報によると、陣場さんの息子が結婚するらしい

めでたいのに、何で泣いてるんだろ

店主｢お嫁さんの家族との食事会、来なくていいって言われたんだって｣

陣場｢親父はどうせ仕事だろっつってさ｣

警察やってればそうなるよね

どうしても家族の時間が減る

陣場｢下の娘なんてよ。お父さんがいたら事件が怒るから来るなっつって。誰のおかげでおっきくなったと思ってやがんだーい｣

伊吹｢よいしょ。その通り｣

席を移動した伊吹くんのグラスが陣場さんのお猪口と乾杯する

九重｢そういうこと言うから嫌われるんですよ｣

伊吹｢その通り！｣

裏切り早いなぁ

まぁほんと、その通りだけど

お酒に任せて陣場さんから事情聴取するなら、私いらないよね

空想は空想のままにしておかないと、面倒になる

あの日の記憶が頭に張り付く

九重｢飲めばいいんですよね。飲めば話しを聞かせてくれる｣

ここではない、どこか遠くを見ていた私を他所に、ちょっとだけ状況が変わっていた

アルハラに屈しない九重さんが飲もうとしてる

陣場｢飲めねえガキが無理すんじゃねぇ！｣

九重｢少しは飲めますよ｣

九重さんの手の届かないテーブルに置いては、ちゃんぷんと揺れる

少しは零れたものの、元から半分も入っていなかったのに

陣場｢どうして半分も飲んじまうかね｣

九重｢まだ飲んでませんけど｣

酔ってるのか酔ってないのか、語り出した

志摩くんが何度電話をかけても出ないから様子を見に来たら転落した後

遺体から香っていたのは、グレングリアンというスコットランドのウイスキー

現場は桔梗さんが、志摩くんと陣場さんは屋上を見に

屋上にはエレベーターでは上がれず、非常階段で

志摩くんはやけに詳しかった

もう片方の靴は屋上へ上がってすぐのとこに落ちていた

その近くには木製の椅子と、木の台に置かれたグレングリアンとグラスが一つ

志摩くんは以前にも、屋上へ来たことがあった