呪術師はクソなので呪霊との共存を目指したい【呪術廻戦】

いっその事散ってやる ページ26

予定よりも押してしまったけれど、初日の団体戦が始まった。恵ちゃんたちは会場に仕掛けてある隠しカメラから撮影された映像を、安全なところから見るらしい。あれやって欲しいな、プリキュア映画のペンライト振って応援するやつ。開始合図待ってるなう。


『……そういえば五条悟って、六眼持ち、だよね。』


「そうだな。相手の術式が見えるとか何とか」


『終わった…………』


「ええ……早くね……？」


顔合わせの時がっつり見られてしまった気がする。絶対術式持ちバレたじゃん。しかも開口一番「見つけた」って……。


『どうせ散るなら派手に散ろうかな……』


「頑張れってば」


軽く伸びをしたり、体を動かしていると交流会開始の合図が拡声器越しに響き渡った。……よし、それじゃあ、


『可愛い天使たちに、おねーちゃんのかっこいい姿を見せて惚れ直してもらお』


呪力で空へと浮き上がり、大体フィールドの真ん中辺りまで飛ぶ。これから行うことは、ちょっと大掛かりな術式。


『領域展開・春爛漫』


一瞬にしてそこは、満開に狂い咲いた桜の巨木を中心とした、澄んだ水面へ変化した。空は雲ひとつない薄水色、浅い水面は鏡のように空と舞い散る桜色の花びらだけを反射していた。これは私の、心の中。心象風景というやつらしい。まあ見事に何も無く、つまらないと言われても仕方がないね。


「どこだ、ここ……」


「これは、桜……？」


『よく来たね、東京校の皆さん。京都校の先輩方も』


「御門院、お前がこれを……？」


『そーです。ここは私の領域。殺すも生かすも私次第の、トンデモな地獄ですよ』


桜の巨木に腰掛けて、眼下の術師たちに薄く笑いかけた。ここはまさしく私の意思ひとつで生死が決まる、地獄のような所。見た目は天国だけれど。


『術式を付与した生得領域を呪力で作り上げて対象を閉じ込めたりするのが領域展開、だったっけ。その領域を作った術師の全体的な能力の上昇及び必中付与。ただし解除後のスタンがデメリット……こんな感じ、かな。まあ私の術式だと、攻撃には転じられないから、呪霊を祓うのには向いてないけれど。』


術者による情報の開示は、縛りの元術式効果を底上げするとかなんとか。


『今まで隠してたけれど、なんかバレそうだったから思い切って打ち明けとくよ。実は私術式持ってまーす。花闢結界術っていう御門院のあれです』

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