呪術師はクソなので呪霊との共存を目指したい【呪術廻戦】

お出かけなう ページ14

『いただきます』


「いただきますっ」


私の真似をして、手を合わせていただきますと言う棘くん。もしかしてこれも、呪言のせいで言えなかったりするのかな。感謝の言葉まで呪いになっちゃ、世話ないねー。やっぱり呪術師は生きづらい。
おにぎりをかじりながら、小さな呪言師を見る。小さい頬を膨らませ、まるでリスやハムスターのようにおにぎりを頬張っていて微笑ましくなった。
私もおにぎりを食べ進めていると、中心にあったはちみつ梅に行き当たった。普通の梅干しより甘くて、私はこっちの方が好きかな。


「ね、おいし？」


『あー、食べてみる？』


「うん！」


おにぎりを差し出すと、ぱくっと梅干し部分を食べる棘くん。案の定酸っぱい顔してて可愛かった。


「それ、ヤ……」


『棘くんにはまだ早かったみたいだねー。』


ちなみに私はツナマヨ苦手だったりする。申し訳ないけれど。なんかコンビニ弁当とかで使われてるマヨネーズが美味しくないんだよね……不思議なことに。


おにぎりを食べ終え、自販機で買った飲み物で一息つく。次はどこへ行こうか。


『棘くんどこ行きたいー？』


「おしろ？」


『なぜそのチョイスなんだ……？まぁいいか。お城、お城か……』


ぐるっと見渡した時、遠くに西洋のお城みたいな建物が見えた。あぁ、棘くんはあれのことを言ってたのか。じゃあ早速行ってみよう。
棘くんを抱え、再び空を歩いた。地面を歩くより最短ルートだし、悲しいかな現代は、空よりも地面を見て歩く人の方が多い。風情が無いよねー。


あっという間に目的地到着。遠目から見て綺麗な西洋風のお城かな、と思ったのだけれど、ところがどっこい廃墟ではないか。しかもこれ元々ラブホだったのが潰れて廃墟になったやつ。こんなの残すなよなー。


『お城ボロボロだから、別の場所行く？』


「えー」


どうやら興味を持ち始めてしまった棘氏。……んまぁ、ラブホと言っても廃墟だし、教育に悪いもんは残ってない、よな……？どんどこ中に入っていく棘くんのすぐ側について、警戒しながら中に入る。こういう所って、お馴染みのあいつが絶対いるんだよなー。


『棘くん棘くん、こっち来て。ぎゅーってして？』


「ぎゅー？」


『ひゃー愛い』


棘くんを呼び戻して、抱きしめるように周りを見えないように隠す。
やっぱりお出ましたかー、呪霊殿。しかもなんか気持ち悪い形してんな…………ナニとは言わないけれども。

初めてのお仕事→←初めての、声

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す