邂逅 ページ26
「よく来てくれた。私がこの国の総統、グルッペン・フューラーだ。隣は書記長のトントン。不躾だが、まずは我が国の外交官の試験に合格したことに、多大なる尊敬の意を表そう」
ごちゃごちゃと考えている間に、総統閣下はスラスラと声を発する。
それを拝聴しすっとその場に跪き、私もゆっくりと言葉を並べた。
「御褒めの言葉、有難く頂戴致します」
「ああ、顔を上げてくれ。そこまで畏まる必要は無いゾ」
「そういう訳には。私はしがない傭兵、身の程は弁えているつもりです」
「……ならばこうしよう。私が君の目を見て話がしたい、と言えば?」
「それが、閣下のご意思ならば」
そう言って顔を上げれば、手で側のソファを示される。ここの人達は、どうやらあまり堅苦しいのが好きではないらしい。
「かけてもらっても?」
「畏まりました」
革張りのソファに腰掛ける。首を傾けて閣下を見つめれば、満足気に微笑まれた。
「よし。早速で申し訳ないが、質問をしてもいいだろうか?」
――来た。
(今度は、何を問われるんだろう)
目前で悠々と微笑む彼が、一筋縄じゃ行かない相手だということなんて火を見るより明らかだ。
オスマンさん同様、嘘は通用しない。だったら、私に許された道はただ1つ。
(どんなことを問われても、自分に正直に答えるだけ)
驕らない、騙らない。
彼らが知りたいのは、目の前の女が信用に値するか――戦場で、命を預けられる存在となり得るか。
「はい、構いません」
頭で色々考えている割に、口から出る言葉は至極簡潔だ。自分でも少々驚くぐらいに。
私の返事を聞き、軽く頷いて閣下は口を開いた。
「傭兵のA、君は――」
(さぁ、何を問う……?)
この時の身構えている私には、知る由もなかった。
まさかこの次に飛び出る質問に――、
「――書類仕事は得意か?」
「……………………はい?」
こんなに脱力させられるなんて。
-投げつけられた真意とは-
*
1013人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆう - 返信ありがとうございます!そうなんですね!なんかかっこいい…!! (2020年2月10日 7時) (レス) id: 9aa71b1239 (このIDを非表示/違反報告)
悠栞@ゼリー(プロフ) - ゆうさん» 一応「見つけてこい」と「貴方がそれを望むなら」的なことを直訳で言ってもらってます…!翻訳アプリ頼りなので文法的な間違いはおそらくあるかと思われます。゚(゚´▽`゚)゚。 (2020年2月9日 22時) (レス) id: 998f9539b4 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう - 小さなお返しの最後の方のロシア語って[...夕食でまた]とかの夕食でまたのところを言っているんですか?((伝わらなかったらすみません (2020年2月9日 22時) (レス) id: 9aa71b1239 (このIDを非表示/違反報告)
悠栞@ゼリー(プロフ) - リズム天国さん» ご返信遅くなり大変申し訳ないです……!ありがとうございます! (2019年6月8日 9時) (レス) id: 5f4004635c (このIDを非表示/違反報告)
リズム天国 - 面白い (2019年4月8日 23時) (レス) id: 1e030985a7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:悠栞@ゼリー | 作成日時:2018年1月14日 1時