掴めない藍 ページ2
「――ん、シッマ達も一段落着いたみたいやな」
その呟きを聞き訓練場へ目を向ければ、先程まで攻防戦を繰り広げていた紫の彼と連れ立ってコネシマさんがこちらへと向かってくる。
「そしたら、僕はそろそろお暇しよか」
「お話されなくてよろしいのですか？」
「ええよ、シッマとなんか別にいつでも話せるし。それにな……」
ちょいちょいと手招きされるままに傍によれば、そっと耳元で囁かれる。
「大事なAちゃんが僕と喋るの、多分シッマ的にNGなんと思うんよ」
「大先生ゴラァ！近いんじゃボケ！！」
「ほらな」
そういえば、と鬱様との初対面を思い出す。確かにあの時のコネシマさん、苦虫を噛み潰したような顔をされていたような……？
「おっと……はよ退散せな殺される勢いやわ。ほなAちゃん、またな〜」
「あ、鬱様！」
「んー？」
くるりと振り返った鬱様に、先程手に取られた髪の束を掲げる。
「"これ"はそのままにしておいた方がよろしいでしょうか？」
「……あ〜、気づいとったん？」
気まずそうに視線を漂わせる鬱様にそっと笑ってみせる。
「咎めるつもりはございません。むしろ他の方々よりまともなご対応かと」
髪に仕込まれていたのはいわゆる盗聴器。
不快な思いは一切ない。むしろ好感が持てるくらいだ。
先程まで接してきた方々を思い出す。
無条件に信頼してくれるな、とまで言うつもりはないが、あの方々のあっけらかんとした対応に不安を覚えるのも確かだ。
「如何致しましょう。私としてはこのままでも構わないのですが……」
「いや、ええよ。そこまで知られとって付けとってって言うのもおかしな話やろうし。それに――」
ごめんな、と再度髪を手に取られる。するりと手をくぐりぬけたそれからは、もう何の気配も感じなかった。
「Aちゃん、悪い子じゃなさそうやし」
「……それを判断するのは、些か早急すぎるのでは？」
「そうかもしれんなぁ。まあもし違ったら、そん時は僕が無能やったってことで」
そんじゃ、今度こそまたな。と来た時と同じようにひらひら〜と手を振って姿を消す鬱様。
反対方向から急ぎ足でかけてくる空色を視界に入れ、ぐっと肩に入った力を抜くのだった。
-触れた警戒、溶ける-
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理音(プロフ) - 好きです！主人公の芯の美しさに惚れ惚れします。他幹部との会話も楽しく、幹部入りする際の総統との会話はカッコよく、感動しました。応援しております。 (2020年10月24日 22時) (
レス) id: 8e86f2162d (このIDを非表示/違反報告)
悠栞@ゼリー(プロフ) - 涼太さん» お返事遅くなってごめんなさい！もったいないお言葉です……！もっとたくさん好きになっていただけるように頑張りますね(*´ω`*) (2020年3月27日 21時) (レス) id: 998f9539b4 (このIDを非表示/違反報告)
涼太 - この神小説読んでから推しがシッマに変わりそう…めっちゃ面白いしショッピくん出てきたの嬉しいし…続きみたいです！更新頑張ってください！ (2020年3月17日 13時) (レス) id: 31e8340390 (このIDを非表示/違反報告)
悠栞@ゼリー(プロフ) - 歌い手総推し！&外資系とホビット、書記長！(寄りの箱推し)さん» よく読んで頂いているようでとても恐縮です……！まだまだ出てきていない人とも頑張って会話させていきますので、楽しみに読んでいただけると幸いです(*^^*) (2020年2月9日 13時) (レス) id: 998f9539b4 (このIDを非表示/違反報告)
歌い手総推し！&外資系とホビット、書記長！(寄りの箱推し) - 続編おめでとうございます！夢主ちゃんの性格や文武両道なところが好きです！完璧主義と思いきや、鬱先生にされる対応には戸惑う所も素敵です！ (2020年2月9日 10時) (レス) id: 6e4f801f19 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：悠栞@ゼリー | 作成日時：2020年2月8日 13時
