検索窓
今日:1 hit、昨日:10 hit、合計:12,896 hit

二百五十六話 ウィル・オブ・タイクーン ページ10

港近くの街の川辺で、人を待つ敦。


なかなか届かない連絡を確かめようと携帯を確認する敦に、近付く人物がいた。




「(太宰さん遅いな…)」


「待たせたかな」




待っている人物とは違う声に、敦は相手を確かめようとゆるりと振り向く。


敦は振り向き相手を認めると、目を見開いた。

そこには、上から目線に立つフィッツジェラルドの姿があった。




「金と優秀な部下を持つものにとっての強敵は、暇だ。
こればかりは金でも異能でもどうにもならん」


「なっ………!?」




戦闘態勢に入ろうとした敦は、しかしすぐにフィッツジェラルドの姿を見失ってしまう。


かと思うと、敦の後ろからフィッツジェラルドの声が聞こえた。




「ありきたりな反応だな」




声に反応した敦は、虎の動体視力を使いながら、振り向きざまに拳を振るう。


しかしその拳も、フィッツヘラルドによって掴み、止められた。




「これもつまらん」

「!?」




力は均衡しているが、フィッツジェラルドは敦の拳を握り潰さんばかりの力で握りしめる。


敦はそれに、思わず悲鳴を上げた。




「部下の反対を押して組合の団長自ら迎えに来たのだぞ?君達は俺を楽しませる義務がある筈だろう」

「ぐああぁっ、……!?
(真逆、戦闘系の異能力……!?)」




頭に一瞬、傷ついた表情のナオミと春野が思い浮かび、敦は歯を食いしばる。




「(でも……こいつを倒せば、戦争は終わりだ!)」




敦はそう考えると、フィッツジェラルドの首を蹴り上げる。


フィッツジェラルドは少しバランスを崩すも、そのまま笑顔の顔を上げた。




「………今の蹴りは良いな。一万ドル程度の価値はある。だが」




そこまで言うと、フィッツジェラルドは敦の鳩尾に蹴りを入れる。

敦の腹から小さくメリッと音がして、次の瞬間、敦は後ろの建物まで吹っ飛んだ。


敦は打ち付けられた拍子に血を吐き倒れ込む。


しかし、倒れることは許されず、敦はフィッツジェラルドに頭を鷲掴みにされた。




「我々が君に懸けた懸賞金(バウンティ)は七十億だ。その程度の実力では買えんな。
落ち込むな親友(オールドスポート)。君の価値は別にある」




虚な瞳の敦に、フィッツジェラルドはそういった。

そして、真っ黒な笑みを浮かべる。




「さあ一緒に来て貰おう」


「(これじゃ……前と同じだ……。
僕は又、皆に……)」




そんな時、どこからか少し高い、静止の声が聞こえた。

二百五十七話 ウィル・オブ・タイクーン→←二百五十五話 ウィル・オブ・タイクーン



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.5/10 (43 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
314人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

??(???)??(プロフ) - 神作品すぎてここまで読んでしまった……夢主ちゃんどうなっちゃうの!?長生きして欲しい……これからも作者様のペースでよろしくお願いします! (1月9日 21時) (レス) @page23 id: 71a0ede70a (このIDを非表示/違反報告)
花見月 - いつも楽しく読ませてもらっています。アンケートですが、1でお願い致します。 (2021年9月24日 0時) (レス) @page5 id: 216d69af47 (このIDを非表示/違反報告)
びっくりさん(プロフ) - 1がいいです。 (2021年9月22日 21時) (レス) @page5 id: d067fbdc83 (このIDを非表示/違反報告)
レイ - 1が良いです。 (2021年9月22日 18時) (レス) @page5 id: 3b590f766f (このIDを非表示/違反報告)
ヒナ(プロフ) - 個人的には1が良いです。 (2021年9月22日 1時) (レス) @page5 id: 91a3e851e1 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ark | 作成日時:2021年9月12日 7時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。