二百六十四話 11歳。 ページ19
そんなある日、とある任務で、私は初めてしくじった。
正確には仕事は成功した。
けど、深い傷を負った。
今まで生まれてから一度も、任務で怪我をしたことはなかった。
訓練されてきたから。
かすり傷ひとつも作らなかった。
その日のそれは、まるで今までのツケかのように、重たい傷だった。
簡単な暗殺の任務。
けれどその日はどこからか情報が漏れていたらしく、最後の最後、本命の敵に逃げられそうになった。
走って逃げる標的に、すぐさま追いつき喉を掻き切った。
一悶着あったもののそれで終わる、と思っていた。
しかし敵は、死に際に笑ってこう言ったのだ。
「俺の異能力は、対象がしてきた罪を、償わせる、能力だ。
お前、今まで、何人の人間を、殺した?
殺した分だけ、その時殺した方法で、殺されたやつの痛みが襲う。
そして最後に死に至る。
お前にそんな、力をかけてやったのさ」
信じられなかった。
そんな言葉、動揺させるためのハッタリだと思っていた。
でもその翌日、突然体に痛みが走って倒れた。
こういうことかと、本当だったのかと、その時初めて気づいた。
お父さんはとても心配してくれた。
その日あったことを全て話すと、泣きながら怒った。
「なぜそんな大事なことを早く言わなかったんだい?」
そう泣いて、抱きしめられた。
お互いあまり時間がなくて、抱きしめられるのも久しぶりで。
私は自分が近いうちに死んでしまうとわかったのに、嬉しくてたまらなかった。
今までの苦しみが嘘のように、お父さんの娘でよかったと思えた。
____それからは、殺しの仕事をやめた。
お父さんは今まで以上に仕事を早く終わらせてくれるようになり、マフィアの仲間たちも、とても心配してくれて、たくさんお見舞いに来てくれた。
特に、中也と姐さんは毎日顔を見にきてくれた。
そして私の扱いは、首領令嬢兼事務補佐となり、毎日マフィア本拠点のビル内を散歩しては、困っている様子の構成員を助ける仕事をしていた。
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??(???)??(プロフ) - 神作品すぎてここまで読んでしまった……夢主ちゃんどうなっちゃうの!?長生きして欲しい……これからも作者様のペースでよろしくお願いします! (1月9日 21時) (レス) @page23 id: 71a0ede70a (このIDを非表示/違反報告)
花見月 - いつも楽しく読ませてもらっています。アンケートですが、1でお願い致します。 (2021年9月24日 0時) (レス) @page5 id: 216d69af47 (このIDを非表示/違反報告)
びっくりさん(プロフ) - 1がいいです。 (2021年9月22日 21時) (レス) @page5 id: d067fbdc83 (このIDを非表示/違反報告)
レイ - 1が良いです。 (2021年9月22日 18時) (レス) @page5 id: 3b590f766f (このIDを非表示/違反報告)
ヒナ(プロフ) - 個人的には1が良いです。 (2021年9月22日 1時) (レス) @page5 id: 91a3e851e1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ark | 作成日時:2021年9月12日 7時