二百六十三話 11歳。 ページ18
あれは、私がまだ11歳の頃。
その頃にはすでにマフィアの構成員として働いていて、私は毎日、表情一つ動かさずに何件もの殺しの任務を受けていた。
その頃についた異名は「殺戮の姫」
なんでも、ポートマフィアの首領が愛してやまない愛娘、マフィアの「姫」であり、
冷たい眼差しで「殺戮」を繰り返すから。
_____らしい。
そのころは、自分がマフィアの首領の一人娘であることに疑問を感じてた。
_____なぜ、自分は普通の子供のように学校に通ったりできないのか。
_____なぜ、自分が命を狙われなければいけないのか。
_____なぜ、知りもしない人たちを殺さなければいけないのか。
_____なぜ、
自分が殺しを行うことに少しずつ疑問を感じるようになってきていた。
仲の良かった織田作さんの死と治くんの逃亡で、心の支えがなくなっていたのもあるかもしれない。
幼い頃からやってきた殺しに、
幼い頃から誘拐や殺人未遂の被害者になってきたことに、
少しずつ少しずつ、疑問を感じてきていた。
お父さんの元に生まれなければ、もっと幸せだったんじゃないのか?
顔も知らない母親と、平凡な父親とともに、毎日平和に、幸せに暮らせていたのではないか?
そんなふうに思っていたけれど、お父さんには、そんなこと言えなかった。
私のお母さんは体が弱くて、私を産んだ直後に死んでしまったらしい。
私をおろしていれば、きっとお母さんは助かっただろう。
でも、二人はそうしなかった。
「たとえそうなっても産んであげたい」と言ったお母さんを、お父さんは止められなかったそうだ。
本人が命をかけて祈る願いを、無碍にはできなかったと、お父さんは言っていた。
お母さんを殺したも同然の私を、生まれた直後から人殺しの私を、お父さんは大切に愛してくれた。
幼い頃は、忙しくてなかなか面倒を見てあげられないからと、夏目先生の元に私を預けていたらしい。
でも、迎えにきてくれてからは、欲しいものはなんでも買ってくれたし、相談事にも乗ってくれた。
忙しのに、頑張って仕事を片付けて、時間を作ってくれていた。
そんなお父さんに、不満や不安をぶつけてはいけない気がして、一人で溜め込んでいた。
何度か、死んでしまおうかと思うこともあったけれど、お父さんの愛情は苦しくなるほどわかっていたからしなかった。
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??(???)??(プロフ) - 神作品すぎてここまで読んでしまった……夢主ちゃんどうなっちゃうの!?長生きして欲しい……これからも作者様のペースでよろしくお願いします! (1月9日 21時) (レス) @page23 id: 71a0ede70a (このIDを非表示/違反報告)
花見月 - いつも楽しく読ませてもらっています。アンケートですが、1でお願い致します。 (2021年9月24日 0時) (レス) @page5 id: 216d69af47 (このIDを非表示/違反報告)
びっくりさん(プロフ) - 1がいいです。 (2021年9月22日 21時) (レス) @page5 id: d067fbdc83 (このIDを非表示/違反報告)
レイ - 1が良いです。 (2021年9月22日 18時) (レス) @page5 id: 3b590f766f (このIDを非表示/違反報告)
ヒナ(プロフ) - 個人的には1が良いです。 (2021年9月22日 1時) (レス) @page5 id: 91a3e851e1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ark | 作成日時:2021年9月12日 7時