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二百五十七話 ウィル・オブ・タイクーン ページ11

「待って」




その声とともに、小さく、橋の木材が軋む音が鳴る。


ぼうっとした目で近づいてくる小柄な影を見つめていた敦は、それが誰であるかを理解すると、目を見開いた。

フィッツジェラルドも、その声に意識を向ける。


橋の上には、今まで行方不明になっていたはずの鏡花がいた。


フィッツジェラルドも影の正体が鏡花であることに気づくと、何かを思い出したように指を鳴らす。




「おや君は確か、マフィアの下級構成員だな。報告書では行方不明とあったが?」


「違う。私の名は鏡花。探偵社員。

宜しく」




フィッツジェラルドの言葉に淡々とそう返した鏡花は、そのままスタスタとフィッツジェラルドの元へ歩いて行き、一瞬で間を詰めてフィッツジェラルドの首に切り傷をつける。




「!」




かすり傷であったが、首からわずかに流れた血に、フィッツジェラルドは驚嘆の声を漏らす。




「なっ………」




そのまま後ろに飛んで距離をとったフィッツジェラルドは、スーツを直しながら、短刀を構える鏡花を見つめた。




「何という野蛮な国だ。
こんな少女が刃の届く瞬間まで殺気もないとは……」




鏡花はその言葉に反応することも、追撃することもなくすぐに踵を返すと、倒れている敦の腕を掴み持ち上げる。




「!!」




そして、橋の手すりに足をかけ、川の方へ飛び降りた。


しかしそのあと鳴ったのは水音ではなく重たい衝突音で、敦を連れた鏡花は、タイミングよく現れた遊覧船の屋根へと飛び移っていた。




「おや、逃げられたか。
さて、この場合の対応は……♪」




フィッツジェラルドは逃したことを焦るでもなく、呑気にそう言ってスケッチッブックを開いた。


そのスケッチブックの中には、今後の行動の指示が書かれている。


しかし、開いたページに書かれていたのは、端的な、ごく短い文章だった。




Please Do NOTHING(何もしないでください) by オルコット”


なお、スケッチブックの全てのページにこの文章が書かれていたという。

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??(???)??(プロフ) - 神作品すぎてここまで読んでしまった……夢主ちゃんどうなっちゃうの!?長生きして欲しい……これからも作者様のペースでよろしくお願いします! (1月9日 21時) (レス) @page23 id: 71a0ede70a (このIDを非表示/違反報告)
花見月 - いつも楽しく読ませてもらっています。アンケートですが、1でお願い致します。 (2021年9月24日 0時) (レス) @page5 id: 216d69af47 (このIDを非表示/違反報告)
びっくりさん(プロフ) - 1がいいです。 (2021年9月22日 21時) (レス) @page5 id: d067fbdc83 (このIDを非表示/違反報告)
レイ - 1が良いです。 (2021年9月22日 18時) (レス) @page5 id: 3b590f766f (このIDを非表示/違反報告)
ヒナ(プロフ) - 個人的には1が良いです。 (2021年9月22日 1時) (レス) @page5 id: 91a3e851e1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ark | 作成日時:2021年9月12日 7時

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